カレントテラピー 30-3 サンプル page 7/34
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4.0相3.0対危険度2.0CIRCS研究;秋田,大阪,高知,茨城の住民8,131人の22年追跡**p<0.05*男性女性1.00.0参照群<8080~99100~119120~139140~(mg/dL)LDLコレステロール図2LDLコレステロールと虚血性心疾患....
4.0相3.0対危険度2.0CIRCS研究;秋田,大阪,高知,茨城の住民8,131人の22年追跡**p<0.05*男性女性1.00.0参照群<8080~99100~119120~139140~(mg/dL)LDLコレステロール図2LDLコレステロールと虚血性心疾患発症虚血性心疾患は心筋梗塞,労作性狭心症,突然死の合計.〔参考文献11)より引用改変〕コホート研究でLDLCと虚血性心疾患の関連を検証したものはほとんどなかった.これは,地域のコホート研究においては空腹条件を遵守させることが困難なため,Friedewald式によるLDLCの計算ができなかったことが主因である.国立循環器病研究センターが20年以上継続して実施している吹田研究では当初から参加者の採血を空腹時で実施してきた.そこでは10時間以上の空腹で健診を受診した4,694人を11.9年間追跡し,Friedewald式で求めたLDLCと心筋梗塞の関連が検討されている9).男性ではLDLCの第5 quintile(151mg/dL以上)の心筋梗塞の多変量調整発症リスクは,第1 quintile(98mg/dL未満)に比べて約3倍で有意に高かったが,女性では関連を認めなかった.LDLCとTCの値の差を80mg/dLと考えると,吹田研究の男性の結果はほぼNIPPON DATA80と同じと考えられる.1961年から開始された久山町研究でも,スタチンが一般的でなかった1980年代前半に健診を受診した40歳以上の住民を19年間追跡している.対象者をFriedewald式で算出したLDLCレベルの4分位で4群に分けると,やはりLDLCレベルの上昇とともに虚血性心疾患の発症率が高くなることが報告された10).また最近,全国4地域の8,131人を20年以上追跡したコホート研11究)では,LDLCは男性だけでなく女性の虚血性心疾患発症リスクを上昇させることも示された(図2).ただしこの研究では,非空腹時の参加者が全体の77%を占め,これらのLDLCもFriedewald式を用いて算出されているため,LDLCの値が過少評価されている可能性がある.また参照群となっているLDLC<80mg/dL群では,女性の虚血性心疾患のイベント数は3例に過ぎず,ここを基準に算出された相対危険度については慎重に解釈する必要がある.いずれにせよ日本人男性の場合,LDLC 140?160mg/dL以上(TC 220?240mg/dL以上)で動脈硬化性心疾患のリスクが明らかに上昇すると考えてよいが,女性についてはさらなる検証が必要である.3トリグリセリドとnon-HDLコレステロール近年,動脈硬化惹起性のリポタンパクをすべて含むnon -HDLC(TCからHDLC値を減じたもの)の重要性が指摘されつつあり,欧米の疫学研究からは心血管リスクの予測因子としてLDLCより優れているという知見も示されている12).吹田研究ではROC曲線や尤度比検定で比較するとnon -HDLCとLDLCの心筋梗塞発症予測能は同等であった9).図3は吹田研究の12年追跡で,TG(カットオフ値150mg/dL),non -HDLC(同じく190mg/dL)の組み合わせで4群に層別化し,心筋梗塞および脳梗塞の発症リスクを検討したものである13).高TGかつ高non -HDLC群で有意な心筋梗塞発症リスクの上昇を認め(相対危険度は約2.5倍),高TG血症下でのnon -HDLC管理の重要性が本邦のコホート研究の知見からも示唆された.4低HDLコレステロールHDLCの低値のリスクに関して国内最初の疫学研10Current Therapy 2012 Vol.30 No.3190