カレントテラピー 30-3 サンプル page 6/34
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5.04.0相対3.0危険度2.01.0NIPPON DATA80;全国の地域住民約1万人の19年間追跡*p<0.05***参照群男性女性0.0<160 160~179 180~199200~219 220~239 240~259 260~(mg/dL)総コレステロール値図1総コレステ....
5.04.0相対3.0危険度2.01.0NIPPON DATA80;全国の地域住民約1万人の19年間追跡*p<0.05***参照群男性女性0.0<160 160~179 180~199200~219 220~239 240~259 260~(mg/dL)総コレステロール値図1総コレステロールと虚血性心疾患死亡〔参考文献7)より引用改変〕のTC値は高くなく,高コレステロール血症に対する生涯曝露があまり大きくないという考え方である.もう一つは,日本人に特有の別の要因により,虚血性心疾患の発症率が低く抑えられているという考え方である.後者については,米国に移住した日本人集団において,ほぼ米国人集団並みに虚血性心疾患の発症率が増加することが複数の移民研究により明らかにされており2),日本人の遺伝的要因は考えにくい.今後,食生活など環境要因に焦点をあてた日米比較研究が必要と考えられる.Ⅲ脂質異常症の合併症脂質異常症とは,TC,LDLコレステロール(LDLC),トリグリセリド(TG)が高い場合,もしくはHDLコレステロール(HDLC)が低い状態を示す総称である.2008年の厚生労働省の国民健康・栄養調査によると『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版』の基準を準用し,LDLC,HDLC,TGのすべてを考慮した場合,脂質異常症の有病者推計数は4,220万人とされ3),単独の危険因子としては最も多い.1高コレステロール血症と虚血性心疾患1948年に開始され約6,500人を追跡した米国のFramingham研究では,心筋梗塞発症の三大危険因子として高血圧,高コレステロール血症,喫煙を明らかにした4).さらに,Seven Countries StudyでTCが高い国ほど虚血性心疾患の発症率も高いことが示された5).また,生活習慣の介入により脂質を低下させれば予後も改善することがMRFIT試験で証明された6).コレステロールと虚血性心疾患の関係について,わが国で行われたNIPPON DATA80の19年追跡でのTC区分別虚血性心疾患の相対危険度(交絡要因調整済み)を図1に示した7).男性の基準を160?179mg/dLとすると,200mg/dL以上の相対危険度は2倍を超え,240?259mg/dL,260mg/dL以上群で有意なリスク上昇を認めた.一方,女性では260mg/dL以上のみ3.8倍の有意なリスク上昇を示した.同じくJapan collaborative cohort studyfor evaluation of cancer risk sponsored by Monbusho(JACC研究)のコホート内症例・対照研究でも,TC 260mg/dL以上の虚血性心疾患のリスクは3.7倍であり,NIPPON DATA80の性別を調整した結果とほぼ合致していた8).以上のように,国内外でTCの高値は虚血性心疾患の危険因子であり,その予防のためには適切なスクリーニングと早期からの生活習慣改善などの対応が必要と考えられた.2 LDLコレステロール『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版』では,TCに変えてLDLCを診断基準に用いることとなった.しかし,このガイドラインにおけるLDLCの基準値は,前述のNIPPON DATA80のTCを用いた研究から推定したものであり,近年まで,地域住民のCurrent Therapy 2012 Vol.30 No.31899