カレントテラピー 30-3 サンプル page 4/34
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脂質異常症―日常診療に必要な知識をまとめよう―企画自治医科大学内科学講座内分泌代謝学部門教授石橋俊エディトリアル2020年には世界の死因のNo.1は動脈硬化性疾患となると予想されている.欧米が先行した疾病構造....
脂質異常症―日常診療に必要な知識をまとめよう―企画自治医科大学内科学講座内分泌代謝学部門教授石橋俊エディトリアル2020年には世界の死因のNo.1は動脈硬化性疾患となると予想されている.欧米が先行した疾病構造が世界的に波及すると推定されるからだ.衛生環境が改善され,周産期死亡率が減少し,飢餓の心配がなくなれば,そこに待ちかまえているのは高齢化社会だ.高齢化は動脈硬化か悪性腫瘍との戦いの過程でもある.この道へ先陣をきって突入しているのが日本でもある.当然のことながら動脈硬化や悪性腫瘍とは無縁に安らかに生涯を終えたいと誰しも願う.その鍵を握るのが脂質異常症診療といえるのかもしれない.まず「己を知れ」と先賢は説く.動脈硬化にどのくらいなりやすいのか?その推定の助けとなる疫学データが急速に整備されつつある.脂質異常にだけ注目していても駄目だと,疫学データは教えてくれている.喫煙・糖尿病・高血圧が大切なのは周知であった.加えて,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)を勘案するのが肝要だ.そして敵は己のなかにある.これら諸リスクの制御から始めねばならない.面白いのは敵のなかでは脂質異常が御しやすく,しかもこれが冠動脈疾患(coronary artery disease:CAD)予防には最良の方策のようだ.薬物療法も進化を遂げつつある.そうした状況の変化を受け,今年はガイドラインが改訂される.本特集は,その先取りをもくろんで構想させていただいた.スタチンの登場はペニシリンの発見に擬せられるほどのエポックだった.その後も,スタチンを超える薬剤の開発に研究者は鎬を削っている.毎年のように脂質異常症の新たな原因遺伝子が報告され,マイクロRNAのようなエピゲノムの関与にも注目が集まっている.これらの機序を標的とした創薬が営々と進められている.また,生活習慣病と単純に断定できない遺伝性の難病に対しても克服の努力が続けられている.読者諸賢におかれては,本特集からそうした新しい時代の息吹を感じ取っていただければ,編者としてこれに勝る喜びはない.Current Therapy 2012 Vol.30 No.31877