カレントテラピー 30-3 サンプル page 24/34
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概要:
効果が示されている11).レジンは副作用として便秘,腹部膨満感などの消化器症状があり,胆道完全閉塞や腸閉塞では禁忌である.またジギタリス,ワルファリン,甲状腺ホルモン製剤,スタチン,フィブラート,脂溶性....
効果が示されている11).レジンは副作用として便秘,腹部膨満感などの消化器症状があり,胆道完全閉塞や腸閉塞では禁忌である.またジギタリス,ワルファリン,甲状腺ホルモン製剤,スタチン,フィブラート,脂溶性ビタミン(A,D,E,K)や葉酸,鉄,亜鉛などの吸収を阻害することがあるので,これらと併用する場合には内服時間をずらす必要がある.Ⅱ高TG血症の治療薬1フィブラートフィブラート系薬物は核内受容体であるperoxisomeproliferator-activated receptorα(PPARα)に結合することで,肝臓での脂肪酸のβ酸化の促進,リポタンパクリパーゼ生成の増加,アポC-Ⅲ生成の抑制,アポA-Ⅰ,A-Ⅱ生成の増加などを介し,血清TG低下,血清LDL -C低下,血清HDL -C上昇などの血清脂質改善作用をもたらす.冠動脈疾患の既往をもつ患者を対象としたべザフィブラートを用いたBIP試験ではTGを21%低下,HDL -Cを18%増加させた.全体では冠動脈疾患再発の抑制は認められなかったが,血清TG 200mg/dL以上の症例に関しては冠動脈疾患の再発抑制がみられた12).BIP試験のサブ解析ではフィブラートによるインスリン抵抗性改善,糖尿病発症抑制作用なども示されている.また2型糖尿病患者を対象としたフェノフィブラートを用いたFIELD試験ではTGを21%低下させたものの,全体では冠動脈疾患発症の抑制は認められなかったが,心血管疾患の既往のない患者に関しては心血管イベントの抑制が認められた13).フィブラートの副作用として横紋筋融解症,肝機能障害,黄疸,発疹などが挙げられる.横紋筋融解症を起こしやすい背景としては腎機能障害,肝機能障害,甲状腺機能低下症,外傷,スタチンとの併用で多いとされており注意が必要である.2ニコチン酸誘導体ニコチン酸はホルモン感受性リパーゼの活性化を抑制し,脂肪組織での脂肪分解を抑制し,肝臓への遊離脂肪酸の取り込みを減少させることで,VLDL合成を抑制し,血中TGを約40%,LDL -Cを20%低下させる.またアポA - 1異化抑制作用によるHDL-Cの20?30%の増加効果もある.心筋梗塞発症後の患者を対象とした2次予防試験であるCoronary Drug Project(CDP)では,ニコチン酸により心筋梗塞再発を27%抑制し,また総死亡率も11%減少したと報告されている14).StockholmIschemic Heart Disease Secondary Preventionstudyでは,フィブラート単独と比較してニコチン酸を併用した群において,総死亡率の28%低下,虚血性心疾患による死亡の36%減少が認められた15).ニコチン酸の副作用としては血管拡張による紅潮,下痢・嘔気などの消化器症状,掻痒感,肝機能障害,耐糖能悪化などが報告されている.3イコサペント酸エチル(EPA)n -3多価不飽和脂肪酸であるEPAはPPARαの転写促進,SREBP1c抑制を介してTGを約15%低下させる.またEPAはアラキドン酸からCOXによって生成されるTXA2産生を減少させ血小板凝集作用のもたないTXA3を産生することや血管拡張作用のあるPGI3を生成することで抗血小板作用も有する.日本人の高LDL -C血症の患者を対象としたJELIS試験ではスタチン単独治療群と比較してEPA併用群では心血管イベントを19%減少させた16).またサブ解析では脳卒中既往のある患者での再発を20%抑制したと報告されている.EPAはもともと魚介類に多く含まれている脂肪酸であるために安全性は高く,重篤な副作用はないと考えられるが,上記の抗血小板作用により出血に関連した副作用が起こる可能性がある.Ⅲおわりに脂質異常症治療薬の特徴を述べ,血清脂質改善効17果について表)にまとめた.高LDL -C血症ではスタチン,陰イオン交換樹脂,エゼチミブが選択されるが,単剤で十分な効果が得られなければ増量また80Current Therapy 2012 Vol.30 No.3260