カレントテラピー　30-3　サンプル page 23/34

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の減少が示された4）．2型糖尿病患者を対象としアトルバスタチンを用いたCARDS試験ではLDL -Cを40％低下させ冠動脈疾患の発症が37％減少した5）．ピタバスタチンに関してはLIVES study Extensionが行われている最中....

の減少が示された4）．2型糖尿病患者を対象としアトルバスタチンを用いたCARDS試験ではLDL -Cを40％低下させ冠動脈疾患の発症が37％減少した5）．ピタバスタチンに関してはLIVES study Extensionが行われている最中である．以上のようにスタチンはLDL -C低下作用とともに心血管疾患発症の1次予防，2次予防に関するエビデンスが蓄積されている．血清脂質の改善作用のほかにもスタチンの多面的作用として血管内皮機能改善作用，抗酸化作用，プラーク安定化作用，免疫調節作用，心筋肥大抑制作用なども報告されている．スタチンの副作用は消化器症状，肝機能障害，黄疸，血球減少，紅斑，高血糖などがあるが，比較的頻度が低く軽度であるものが多い．しかし副作用の中でも肝機能障害，横紋筋融解症には注意が必要である．横紋筋融解症に関しては背景に高齢，感染，手術，過量の飲酒，腎機能障害，肝機能障害，過度の運動，フィブラートとの併用があるとその頻度が増加するといわれている．最近のスタチンと糖尿病発症のメタ解析結果の報告では，スタチン治療群ではプラセボや通常療法群に比べ発症リスクが9％上昇し，高齢者で多いとされている6）．しかしこの点についてはまだ未解決な問題が多く，今後の検討課題である．またスタチンは催奇形性が高いため，妊婦・授乳婦には禁忌である．脂溶性であるシンバスタチン，フルバスタチン，アトルバスタチンはCYPにて代謝されるのでイトラコナゾール，クラリスロマイシン，シクロスポリン，ワルファリンなどと併用する場合には作用の増強に注意する．2小腸コレステロールトランスポーター阻害薬（エゼチミブ）小腸に達するコレステロールは食事由来のものが300?700mg，胆汁由来のものが500?2,000mgであり，その約50％が小腸から吸収される．コレステロール吸収のメカニズムは2004年に小腸上皮細胞にあるトランスポーターであるNiemann Pick C1 like 1（NPC1L1）を介することが解明された．エゼチミブはNPC1L1を阻害することによって小腸からのコレステロールの吸収を約54％阻害する．エゼチミブ単独投与ではLDL -C 18％低下し，トリグリセリド（TG）17％低下，HDL -C 17％増加の効果があり，スタチンとの併用ではLDL -C 30?50％低下，TG 20?30％低下，HDL -C 8?9％増加の効果があるとされている7），8）．スタチン内服中は肝臓でのコレステロール合成が抑制されているため，小腸からのコレステロール吸収が亢進する．そのためスタチンに加えてエゼチミブを併用することでより大きなLDL-C低下作用をもたらす．エゼチミブは血清脂質改善効果を認めるが，現時点において単独投与による心血管疾患発症抑制に関するエビデンスはない．大動脈狭窄症を対象としたSEAS試験ではシンバスタチンとエゼチミブとの併用において虚血性心疾患を22％減少させることが示された9）．また慢性腎臓病（chronic kidney disease：CKD）患者を対象としたSHARP試験ではシンバスタチンとエゼチミブの併用により動脈硬化性の心血管イベントが17％減少したと報告されている10）．エゼチミブは比較的新しい薬剤であり，今後のエビデンス蓄積が期待される．エゼチミブの副作用はきわめてまれであるとされているが，消化器症状，肝機能障害，横紋筋融解症などがある．またエゼチミブとレジンを同時に投与すると効果が減弱するため，4時間以上おいて投与するのが望ましい．3陰イオン交換樹脂（レジン）レジンは腸管内でコレステロールを含む胆汁酸と結合し，胆汁酸の腸管からの再吸収を阻害することで便中への排泄を増加させる．またレジンは胆汁酸の腸肝循環における肝臓へのコレステロール再吸収を阻害することにより，肝臓でのコレステロールから胆汁酸への合成を亢進する．この結果，肝臓内のコレステロール含量が低下し，細胞表面へのLDL受容体発現が増加させることで血中LDL -Cを低下させる．しかし，一方で腸肝循環阻害による肝臓内のコレステロール含量の低下は肝臓でのコレステロール生合成を亢進させるため，レジンとスタチンを併用することでより効果的である．レジンを用いた大規模臨床試験LRC -CPPTでは血清LDL -Cの20％の低下とともに心血管イベントを19％減少させるとのCurrent Therapy 2012 Vol.30 No.325979