カレントテラピー 30-3 サンプル page 20/34
このページは カレントテラピー 30-3 サンプル の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
(mmol/L)0.8中性脂肪濃度の変動0.6(mmol h/L)3.530.42.5*2*1.50.210.500FAT0123456(h)Time○脂肪●脂肪+中用量茶カテキン■脂肪+高用量茶カテキンIAUC―中性脂肪*FATFAT+moderate dose+high dosetea ca....
(mmol/L)0.8中性脂肪濃度の変動0.6(mmol h/L)3.530.42.5*2*1.50.210.500FAT0123456(h)Time○脂肪●脂肪+中用量茶カテキン■脂肪+高用量茶カテキンIAUC―中性脂肪*FATFAT+moderate dose+high dosetea catechinstea catechins図2緑茶摂取による脂肪負荷後の血清中性脂肪濃度の変動*脂肪群に対して有意差あり(p<0.05)〔参考文献9)より引用改変〕3中鎖脂肪酸中鎖脂肪酸は,長鎖脂肪酸と消化吸収の経路が全く異なる.長鎖脂肪酸は疎水性のため,リンパ管・左鎖骨下静脈を通って,各組織に運ばれた後,分解・貯蔵される.一方中鎖脂肪酸は,胃でほとんどすべての脂肪酸がグリセロールから外れ,腸管内で胆汁酸ミセルを形成せずに吸収される(図1).その後,TGに再合成されることなく,水に親和性があるため水系の門脈を経由して直接肝臓に取り込まれ,β酸化によりエネルギーとなる.中鎖脂肪酸は腸管での吸収後,直接門脈に入るため,カイロミクロンの形成が行われず,食後高脂血症の改善にも有効である.これまでも血中のカイロミクロンが増加する高脂血症Ⅰ・Ⅴ型の食事療法に用いられてきた.4ポリフェノール緑茶やウーロン茶に含まれるポリフェノールは,食後の中性脂肪濃度,体脂肪の低減効果を有することが近年報告されている(図2)9).作用メカニズムとしては,膵リパーゼ活性の阻害により,小腸からの脂肪吸収を抑制することが示されている.Ⅳ抗酸化物質を多く含む食品近年,酸化LDLの動脈硬化作用に注目が集まっており,単にコレステロール量を減少させるだけでなく,抗酸化物質を有する食品を取り入れ,LDLが酸化LDLに変化するのを防止する重要性が指摘されている.1ポリフェノール食品に含まれる抗酸化物質として,ビタミンC,Eなどさまざまな種類が知られているが,近年食品の色素成分や苦み,渋み成分であるポリフェノールが注目されている.ポリフェノールは7,000種類とも8,000種類ともいわれ,すべてのポリフェノールが明らかになったわけではないが,代表的なポリフェノールとしては,カテキン,ケルセチン,イソフラボンなどが挙げられる.カテキンを含んでいる食品には,赤ワイン,お茶,紅茶,カカオが,ケルセチンには,タマネギ,ブロッコリーなどが挙げられる.イソフラボンは大豆食品に含まれているため,豆腐,納豆,味噌,醤油なども挙げられる.Zutphen Elderly StudyやSeven Countries Studyなど,多くの疫学調査において,ポリフェノールの摂取量と動脈硬化性疾患との負の相関が報告されている.筆者らの検討では,ポリフェノールを多く含む赤ワインを健常人へ2週間投与したところ,LDLの酸化が抑制されることが明らかになった10).また,ココアや緑茶,さらにはサツマイモやシソの葉においても同様の結果を報告している11).2カロテノイド脂溶性の抗酸化物質の代表のひとつであるカロテ76Current Therapy 2012 Vol.30 No.3256