カレントテラピー 30-3 サンプル page 19/34
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代替療法中鎖脂肪酸長鎖脂肪酸腸管内門脈リンパ管・静脈中鎖脂肪酸は,肝臓へ通じる門脈を経て,直接肝臓に運ばれ,効率よく分解される.肝臓筋肉肝臓脂肪組織長鎖脂肪酸は,リンパ管・静脈を通って脂肪組織,筋肉,....
代替療法中鎖脂肪酸長鎖脂肪酸腸管内門脈リンパ管・静脈中鎖脂肪酸は,肝臓へ通じる門脈を経て,直接肝臓に運ばれ,効率よく分解される.肝臓筋肉肝臓脂肪組織長鎖脂肪酸は,リンパ管・静脈を通って脂肪組織,筋肉,肝臓に運ばれ,分解や貯蔵される.エネルギー蓄積貯蔵必要に応じて分解エネルギー図1中鎖脂肪酸の代謝経路〔J.Beare-Rogens ed.:Dietary FatRequirements in Health and Development,AOCS(1988)〕Ⅲ高トリグリセリド血症を是正する食品脂質異常症のなかでも,高トリグリセリド(triglyceride:TG)血症は高コレステロール血症と比べて,独立した危険因子としての特性は弱いと考えられていた.しかし,TGを豊富に含むリポタンパク(レムナント)がマクロファージに直接取り込まれ,動脈硬化を惹起することが明らかとなり,高TG血症のみならず,食後に中性脂肪が増加する食後高脂血症も動脈硬化の危険因子として注目を集めている.高TG血症の改善には,基本的に摂取エネルギー,アルコール摂取,果糖摂取の是正と,食事摂取後の脂質代謝の是正を目指した食環境の改善が重要である.また,食後高脂血症の改善にはカイロミクロンを生成しない中鎖脂肪酸と,腸管での脂肪の吸収阻害作用を有するポリフェノールやカロテノイドなどの食品因子が知られている.1魚油n -3系脂肪酸を多く含む魚やアザラシを食べているグリーンランドのイヌイットは,デンマークの白人に比べ心血管疾患による死亡率が低いことや,血中にEPAが多く含まれていることから,魚油が注目を集めるようになった.魚油は,EPA,DHAが豊富であることが特徴である.これら脂肪酸の吸収率は60?80%で,魚油の吸収率は植物油に比して低く,負荷後のTG上昇が低いことが報告されている.また,EPAは肝臓においてsterol regulatory element -binding proteins-1c(SREBP -1c)の活性を抑制することで中性脂肪の合成を抑制し,超低比重リポタンパク(VLDL)を低下させる6).わが国における大規模臨床試験(JELIS Study)において,高純度EPA製剤が心血管イベントの発生を抑制することや,n-3系不飽和脂肪酸の摂取量による虚血性心疾患のリスクを比較検討した結果(JPHCStudy),n-3系不飽和脂肪酸の摂取量が多い群では,少ない群よりも冠動脈疾患および心筋梗塞の発症リスクが低下していることが明らかになった7),8).2グロンビン分解物各種食品タンパク質を酵素分解して得たタンパク加水分解物をスクリーニングした結果,グロビンタンパク分解物に最も強い中性脂肪低下作用のあることが見いだされた.活性ペプチドは,バリン-バリン-チロシン-プロリン(VVYP)のテトラペプチドであることも明らかにされている.このペプチドの作用機序としては,膵リパーゼの阻害に加え,肝性リパーゼの活性化,脂肪酸のβ酸化を促進するなど,さまざまな作用が知られている.Current Therapy 2012 Vol.30 No.325575