カレントテラピー 30-3 サンプル page 17/34
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脂質異常症―日常診療に必要な知識をまとめようサプリメント(ポリフェノールなど)*1*2杉原規恵・近藤和雄脂質異常症には食習慣が深くかかわっている.脂質異常の是正には,エネルギー制限と脂質エネルギー比を25....
脂質異常症―日常診療に必要な知識をまとめようサプリメント(ポリフェノールなど)*1*2杉原規恵・近藤和雄脂質異常症には食習慣が深くかかわっている.脂質異常の是正には,エネルギー制限と脂質エネルギー比を25%以下にすることが基本であるが,コレステロールが高値の場合はコレステロール低下作用を有するリノール酸,オレイン酸,植物ステロール,大豆タンパク,食物繊維を,トリグリセリドが高値のときは,エイコサペンタエン酸(EPA)を,食後高脂血症,カイロミクロン血症の是正には,中鎖脂肪酸を,抗酸化作用としてビタミンE,ビタミンC,カロテノイド,ポリフェノールを食生活に取り入れることも考慮される必要がある.これらの食品成分のなかには特定保健用食品として認められているものや,サプリメントとして使用されているものもあるが,生体内での代謝動態など,いまだ不明な点が多い.あくまでも薬物的使用ではなく,食事療法の範囲内での使用が求められる.Ⅰはじめに脂質異常症,高血圧,糖尿病,肥満などの生活習慣病では,個人のライフスタイルや体質の改善が重要な課題となる.したがって発病後の治療に焦点を当てている現代西洋医学に加え,治療だけでなく予防や健康増進に効果的な生活改善や体質改善を主柱とする代替医療が注目を集めている.代替医療には世界各地域に根差した伝統・民族療法や免疫療法,薬効食品・健康食品(抗酸化食品,補助食品,サプリメントなど),ハーブ療法,アロマセラピー,食事療法,精神・心理療法,温泉療法,酸素療法など多くの治療を含む.特に脂質異常症は食習慣とのかかわりが深く,予防や治療には病態に応じた基本的食事療法や,サプリメントの選択など食品の機能性の応用が期待できる.Ⅱコレステロール濃度に関与する食品血清コレステロール濃度を低下させる機能が期待される食品成分は,リノール酸,オレイン酸などの脂肪酸,植物ステロール,大豆タンパク,食物繊維などが挙げられる.1脂肪酸脂肪摂取は血中のコレステロール濃度と深くかかわっている.脂肪エネルギー比の増加とともに血清コレステロール濃度は増加するが,脂肪酸の不飽和度によっても変化することが1950年代にKeysらにより報告されている1).飽和脂肪酸は血中のコレステロール濃度を上昇させるのに対し,多価不飽和脂肪酸のリノール酸は血清コレステロール濃度を低下させる.また,一価不飽和脂肪酸のオレイン酸も飽和脂肪*1お茶の水女子大学食物栄養学科*2お茶の水女子大学生活環境教育センター教授Current Therapy 2012 Vol.30 No.325373