カレントテラピー 30-2 サンプル

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ストレスと疾患企画独立行政法人国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長大野裕エディトリアルストレスが心身に好ましくない影響を及ぼすことはよく知られている.強いストレスを受けた結果として,身....

ストレスと疾患企画独立行政法人国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長大野裕エディトリアルストレスが心身に好ましくない影響を及ぼすことはよく知られている.強いストレスを受けた結果として,身体疾患や精神疾患を発症することもある.もちろん,ストレスだけでそうした状態になるわけではないが,発症の誘因として,何らかのストレスが関与していることは少なくない.そこで,本号では,主要な身体疾患や精神疾患を取り上げて,ストレスという視点から専門家の先生方に解説していただいた.もっとも,ストレスというと悪いイメージをもちがちだが,必ずしも悪いとはいい切れないところがある.職場を例に挙げると,ストレスを感じたり不安になったりするからこそ,仕事の準備がはかどったり集中できたりする.このようなストレスは専門的にはユーストレス(よいストレス)とよばれていて,毎日の生活のなかで充実した気持ちを感じながらテンポのよい生活を送るためには大切なものと考えられている.しかし,ストレスも度が過ぎると心身両面によくない影響が出てくる.それが,ディストレス(よくないストレス)とよばれているもので,新しい仕事を始める前に不安が強くなりすぎて準備が手につかなくなったり,人前でプレゼンをするときに緊張が強くなりすぎてうまく話せなくなったりするのがその例である.そのようにストレスにうまく対処できないと精神的に疲れてきて,頭のなかにいろいろと悲観的な考えが浮かんだり,気持が動揺して不安になりやすくなったりする.今まで体験したことがないような気分の沈み込み,気力の低下,空しい感じ,不安,イライラ感などが出てくるようにもなる.こうした反応は身体面にも現れてくる.自律神経やホルモン,免疫機能が変調をきたして身体面の不調が目立つようになる.頭痛や肩こり,胃の痛みや下痢,便秘など原因がはっきりしない身体の不調が現れるし,高血圧や十二指腸潰瘍,心筋梗塞などの身体的な病気にかかりやすくなったりもする.しかも,ストレスは発症に関与するだけでなく,症状が持続する要因にもなっている.したがって,精神疾患はもちろんのこと,身体疾患でもストレスを抜きにして治療を語ることはできない.本号の特集が,読者の皆様の日常臨床にお役に立つことを願っている.Current Therapy 2012 Vol.30 No.2957