カレントテラピー 30-2 サンプル

カレントテラピー 30-2 サンプル page 16/26

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治療薬解説診断のポイント・DSM-Ⅳ-TRの診断基準を満たす・日内変動(朝不調で夕方元気)あり・過去に躁病エピソードの既往・何度もうつ症状を繰り返す・遺伝素因がより大きい・はっきりとしたストレス因子がある・....

治療薬解説診断のポイント・DSM-Ⅳ-TRの診断基準を満たす・日内変動(朝不調で夕方元気)あり・過去に躁病エピソードの既往・何度もうつ症状を繰り返す・遺伝素因がより大きい・はっきりとしたストレス因子がある・症状は一時的で遷延しない・軽うつが長期に持続・不満や他罰性があり得る代表的な治療抗うつ薬休養,環境調整も有効気分安定薬が主剤抗うつ薬は控えめにうつ病双極性障害適応障害気分変調症休養,環境調整場合により睡眠薬など抗うつ薬カウンセリング表2うつ状態を引き起こす主な疾患と治療〔参考文献7)より一部引用改変〕表3大うつ病エピソードの診断基準A.以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し,病前の機能からの変化を起こしている.これらの症状のうち少なくとも1つは,(1)抑うつ気分,あるいは(2)興味または喜びの喪失である.注:明らかに,一般身体疾患,または気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない.?その人自身の言明(例:悲しみまたは空虚感を感じる)か,他者の観察(例:涙を流しているように見える)によって示される,ほとんど1日中,ほとんど毎日の抑うつ気分注:小児や青年ではいらだたしい気分もあり得る.?ほとんど1日中,ほとんど毎日の,すべて,またはほとんどすべての活動における興味,喜びの著しい減退(その人の言明,または他者の観察によって示される)?食事療法をしていないのに,著しい体重減少,あるいは体重増加(例:1カ月で体重の5%以上の変化),またはほとんど毎日の,食欲の減退または増加注:小児の場合,期待される体重増加がみられないことも考慮せよ.?ほとんど毎日の不眠または睡眠過多?ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止(他者によって観察可能で,ただ単に落ち着きがないとか,のろくなったという主観的感覚でないもの)?ほとんど毎日の疲労感または気力の減退?ほとんど毎日の無価値感,または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある.単に自分をとがめたり,病気になったことに対する罪の意識ではない)?思考力や集中力の減退,または,決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言明による,または他者によって観察される)?死についての反復思考(死の恐怖だけではない),特別な計画はないが反復的な自殺念慮,または自殺企図,または自殺するためのはっきりとした計画〔参考文献11)より一部引用抜粋〕応となる疾患を理解することが必要となる.双極性障害の患者がうつ病相のときに受診し,抗うつ薬を使用すると躁転する危険性があるため,注意が必要である.躁転し得ることを予測させる因子として,もともと躁のいくつかの症状の要素をもつこと,発症年齢の低さ,精神症状があること,双極性障害の家族歴があることなどが挙げられる10).これらの因子をもつ患者への抗うつ薬の処方は慎重に行うべきである.環境や役割の変化,喪失体験,人間関係などはっきりと同定されるストレス因子に対する心理的反応としての適応障害によるうつ状態には,抗うつ薬よりも精神療法や環境調整が必要となる.ほかにもパーソナリティの要素が併存することが多い気分変調性障害や,ディスチミア親和型うつ病,新型うつ病とよばれる一群に対しても,薬物療法よりもカウンセリングなどの精神療法が中心となる.こうした場合は,服薬や休息だけでは回復は難しく,生活スタイルを見直し,適度に励ますことが重要となる.2うつ病の診断と重症度分類現在,うつ病の診断には米国精神医学会(APA)によるDiagnostic and statistical manual of mentaldisorders. 4 th ed, text revision(DSM-Ⅳ-TR)が広く使用されている11).表3に示す症状が1または2を含んで5つ以上,ほとんど毎日2週間以上続いたとCurrent Therapy 2012 Vol.30 No.215971