カレントテラピー 30-2 サンプル

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分類特徴効果副作用三環系・効果が強いが副作用が多い・過量服薬で致死的となり得る・三環系をいくらかマイルドに・抗うつ効果に物足りなさがある・選択的にセロトニンに働く・副作用が少ない・意欲にあまり効かない....

分類特徴効果副作用三環系・効果が強いが副作用が多い・過量服薬で致死的となり得る・三環系をいくらかマイルドに・抗うつ効果に物足りなさがある・選択的にセロトニンに働く・副作用が少ない・意欲にあまり効かない・若者層には慎重投与・セロトニンとノルアドレナリンに働く・循環器疾患には慎重投与強力な効果抗コリン抗α1三環系よりマイルド眠気嘔気下痢性機能障害四環系マイルドな効果SSRIマイルドな効果SNRINaSSA・効果発現が早い・胃腸症状や性機能障害が少ないマイルドな効果SSRIよりも意欲に効果強力な効果血圧上昇頭痛尿閉眠気体重増加表1抗うつ薬の特徴〔参考文献7)より一部引用改変〕べ意欲向上が加わり,より広い治療スペクトラムが期待される.本邦ではミルナシプランとデュロキセチンが上市されている.ミルナシプランはSSRIと異なりCYP阻害作用が弱いため,他剤との併用も安心で,高齢者などの使用に適している.副作用としては尿閉や頻脈,血圧上昇などがあり,前立腺肥大や循環器疾患に注意する必要がある.デュロキセチンはセロトニン,ノルアドレナリンともに強力な再取り込み阻害作用を有している.主な副作用としては嘔気と不眠がある.モサプリドなどの胃腸機能改善薬とともに処方したり,ベンゾジアゼピンを頓用で処方したりすることで副作用を予防できる.5ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬そのメカニズムから,ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(noradrenergicand specific serotonergic antidepressant:NaSSA)とよばれ,シナプス前部の自己受容体であるアドレナリンα2受容体の阻害によってセロトニンとノルアドレナリンの放出を促進することで効果を発揮する.このためSSRIと比べて効果発現が早く,またシナプス後部のセロトニン5 -HT2,3受容体を阻害することで胃腸症状や性機能障害などの副作用も少ない.本邦ではミルタザピンが該当する.副作用としては,抗ヒスタミン作用による眠気と体重増加がある.6それぞれの特徴と副作用それぞれの特徴を表1 7)に示す.性機能障害,セロトニン症候群,中断症候群などはSSRIでの報告が多いが,その他の抗うつ薬でも生じるため注意が必要である.近年,抗うつ薬全体において注目されている副作用としてアクチベーション症候群と,それに関連した自殺や他害行為の増加がある.アクチベーション症候群とは抗うつ薬の投与開始時に不安,焦燥,パニック発作,不眠,易刺激性,敵意,衝動性,アカシジア,軽躁,躁状態などを認める症候群で,うつ病治療中の自殺念慮や自傷行為につながる8).また,若年者,衝動的行動歴があるもの,主病名が大うつ病以外の病態であるもの,パーソナリティ障害を伴うものなどに抗うつ薬を使用すると,他害行為が多くなることがわかっている.これらのリスク候補因子に該当する場合,抗うつ薬の使用はリスクとベネフィットを天秤にかけて慎重に決断すべきである9).Ⅳ抗うつ薬の使い方1抗うつ薬の適応となる疾患うつ状態はうつ病だけでなくさまざまな精神疾患で生じる.うつ状態を呈する代表的な精神疾患の特徴と治療法を表2 7)に示す.うつ状態を呈するすべての疾患に対して抗うつ薬は有効ではなく,疾患によっては有害となることもあるので,抗うつ薬の適70Current Therapy 2012 Vol.30 No.2158