カレントテラピー 30-2 サンプル page 11/26
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概要:
自ら心の姿勢を選び直すというプロセスが可能であるということがAHの考え方の中核である.この点が,他者依存的な姿勢からセルフエンパワーメントへと転換する力を生む.ストレスにとらわれているときには,環境が変....
自ら心の姿勢を選び直すというプロセスが可能であるということがAHの考え方の中核である.この点が,他者依存的な姿勢からセルフエンパワーメントへと転換する力を生む.ストレスにとらわれているときには,環境が変わらない限り,あるいは自分の感じ方を無理やりポジティブに変えない限り,ストレスから解放されることはないと信じ込むものであるが,AHはそのどちらでもないやり方への道を開くものである.受容人間性と全体性の認識現在への集中自分に対して正直ⅣAHのサポートモデルAHのポイントを押さえるために,サポートモデルを図に示す.「受容」と「人間性と全体性の認識」であるが,「怖れ」に含まれる感情を否認してしまったら手放すことはできない.何であれ,現状を受容することがスタートとなる.受容すると同時に,その人間性と全体性を「認識」することが必要となる.「この状況で怒りを感じるのは,人間的だ」ということが人間性の認識であり,怒りを手放していくプロセスを認識することが全体性の認識である.中心に位置する「現在への集中」も重要である.AHでは,「怖れ」は過去や未来にのみ生じると考える.過去についての罪悪感や未来に対する不安感などが「怖れ」の正体であり,意識を100%現在に集中することによって「怖れ」を手放すことができるとされる.例えば,私たちが人の話を聴くとき,往々にして相手の話に身が入らないのはなぜかということを考えてみる.AHのワークショップで聞かれる答えは,「どうやって賢いコメントをしようかと考えてしまう」「この人はいつも同じ話ばかりだと思って興味がもてない」「早く自分の話をしたいと思う」「今日の夕食になにをつくるか,というようなことを考えてしまう」「この人は○○すべきなのに,などと批判しながら聞いてしまう」などが中心的なものである.いずれも,気持ちが現在に集中せず,過去や未来に散漫になっているといえる.つながり内的および外的図AHのサポートモデル選択怖れにとらわれるか手放すか平和か葛藤かこの図の各項目かその反対か完全に現在に集中すると,人の話に対しても別の聴き方ができるようになる.これは相手にとって大変価値のある聴き方であるとともに,聴き手側にとっても最も心が平和になり,相手とのつながりを感じられる聴き方となる.AHのグループでは,瞑想やアートなどと同様,現在に集中するための手段として他人の話を聴く,ということをしている.「つながり」も,重要な要素である.AHでは,内的および外的つながりを重視し,心の平和のためには,すべてのコミュニケーションがつながるためのものになることが必要だとしている.内的つながりというのは,自分自身の心の平和とのつながりである.外的つながりは,他人とのつながりだけでなく,より大きな「何か」とのつながりも意味する.より大きな「何か」というのは,宗教をもつ人であれば神ということになるだろうし,「直感」「必然」「自然」という言葉を好む人もいるが,いずれにせよスピリチュアルな概念である.「選択」は,AHの中核である.「愛か怖れか」「平和か葛藤か」「この図の各項目(受容,人間性と全66Current Therapy 2012 Vol.30 No.2154