カレントテラピー 30-12 サンプル page 5/30
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配合剤の現状と展望配合剤の歴史的経緯と日米欧の状況*景山茂わが国における降圧薬の配合剤の歴史は古く半世紀以上に及び,当初はレセルピンとヒドララジン含有の配合剤であった.その後,これらの降圧薬の使用頻度....
配合剤の現状と展望配合剤の歴史的経緯と日米欧の状況*景山茂わが国における降圧薬の配合剤の歴史は古く半世紀以上に及び,当初はレセルピンとヒドララジン含有の配合剤であった.その後,これらの降圧薬の使用頻度が低下したため,配合剤はほとんど用いられることはなかった.2006年にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensinⅡreceptor blocker:ARB)とヒドロクロロチアジドとの配合剤が発売されて以来,各種ARBとヒドロクロロチアジド,あるいはカルシウム拮抗薬との配合剤,さらにはカルシウム(Ca)拮抗薬とスタチンとの配合剤が上市された.配合剤はこれまで服薬のアドヒアランス向上や医療経済の面から論じられている.今後は血圧の変動に対する処置において,ARBと利尿薬の組み合わせ,あるいはARBとカルシウム拮抗薬の組み合わせのいずれが降圧治療を円滑に行えるかという観点からの検討も必要であろう.また,高血圧と脂質異常症という合併頻度の高い疾患に対する薬物の配合剤の意義も今後の検討課題である.Ⅰはじめにわが国における降圧薬の配合剤の歴史は古く,1錠中にレセルピン0.1mg,ヒドララジン10mgを含有するセルパシル・アプレゾリンRが1956年6月に発売された.その後,強力セルパシル・アプレゾリンR(レセルピン0.1mg,ヒドララジン25mg)は1958年12月に,1960年10月には1錠中にレセルピン0.1mg,ヒドララジン10mg,ヒドロクロロチアジド10mgを含有するエシドライRが発売された.その後,レセルピンやヒドララジンはほとんど使われなくなり,2006年にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensinⅡreceptorblocker:ARB)とヒドロクロロチアジドとの配合剤であるプレミネントR配合錠が発売されるまで,降圧薬の配合剤はほとんど顧みられることはなかった.本稿では,高血圧治療ガイドラインにおける配合剤の位置づけ,わが国における降圧薬の配合剤の歴史,承認条件,海外の降圧薬配合剤の使用状況について述べる.Ⅱ高血圧治療ガイドラインにおける配合剤の位置づけ現在では降圧治療に関するガイドラインは日米欧それぞれから出されているが,1977年の米国合同委員会(Joint National Committee:JNC)による「高血圧の予防,発見,診断および治療に関する報告」を嚆矢としている.また同年のJNC報告では,段階的治療(stepped-care approach)が提示され,Step 1ではサイアザイド系利尿薬,Step 2ではプロプラノロール,メチルドパあるいはレセルピン,Step3で*東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター薬物治療学研究室教授8Current Therapy 2012 Vol.30 No.121224