カレントテラピー 30-12 サンプル

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治療薬解説9.0アログリプチン25mg単独療法(n=160)ピオグリタゾン30mg単独療法(n=153)アログリプチン12.5mg+ピオグリタゾン30mg(n=158)アログリプチン25mg+ピオグリタゾン30mg(n=158)HbA1c(%)8.07.0....

治療薬解説9.0アログリプチン25mg単独療法(n=160)ピオグリタゾン30mg単独療法(n=153)アログリプチン12.5mg+ピオグリタゾン30mg(n=158)アログリプチン25mg+ピオグリタゾン30mg(n=158)HbA1c(%)8.07.06.0-404812期間(週)16 20 24 28図32型糖尿病患者に対するアログリプチン単独療法,ピオグリタゾン単独療法,アログリプチン+ピオグリタゾン併用療法の血糖改善効果〔参考文献16)より引用改変〕に比べ膀胱癌の発生リスクが増加したと発表した(HR=1.22,95%CI:1.05~1.43).また,米国のKPNC研究の中間解析においても,ピオグリタゾン使用期間が24カ月以上の場合に膀胱癌発生リスクの上昇傾向が報告された(HR=1.4,95%CI:1.03~2.0).これらの結果を受けて米国食品医薬品局(FDA)は膀胱癌患者にピオグリタゾンを使用しないよう注意喚起している.一方,英国でのコホート研究では,ピオグリタゾン投与患者と他の糖尿病治療薬投与患者の間に膀胱癌発生リスクの有意な差は認められず(HR=1.16,95%CI:0.83~1.62),P R O a c t i v estudyのフォローアップデータでもピオグリタゾン投与患者とプラセボ投与患者間の膀胱癌発生リスクに有意な差を認めなかった(HR=1.00,95%CI:0.56~1.80)などいまだ一定の見解を得ていない.したがってピオグリタゾンの使用には膀胱癌発現リスク上昇の可能性に留意し,リスク・ベネフィットを考慮して臨むべきである.Ⅴアログリプチンとピオグリタゾンの併用効果アログリプチン/ピオグリタゾン配合錠(リオベルR)は,1剤でインスリン分泌不全とインスリン抵抗性の両者をカバーする薬剤である.海外での検討では薬物療法を受けていない2型糖尿病患者に対して,アログリプチン25mg単独療法,ピオグリタゾン30mg単独療法,アログリプチン12.5mg+ピオグリタゾン30mg併用療法,アログリプチン25mg+ピオグリタゾン30mg併用療法を行った結果,26週後にHbA1cはそれぞれ,0.96%,1.15%,1.56%,1.71%低下したと報告されている(図3)16).日本人においてもピオグリタゾン投与にて血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者に対しアログリプチン25mgを併用した場合,HbA1cは約1%の低下を示し,空腹時血糖,食後2時間血糖もそれぞれ約19mg/dL,42mg/dL低下した.またHbA1cの改善効果は52週にわたって維持され,安定した血糖コントロールも期待される(図4)17).アログリプチンとピオグリタゾンは,それぞれ単剤でも脂質改善効果を有することが知られているが,双方の併用ではRLP -C,トリグリセリドがさらに大きな減少を示し,HDL -Cは有意な増加を示すことが報告されている18).またアログリプチンとピオグリタゾンの併用は強力な冠動脈疾患危険因子であるsmall dense LDL -Cを低下させることも報告されており,大血管障害への効果も期待される.さらにアログリプチン,ピオグリタゾンをそれぞれ単独で用いるのと比べ,双方の併用では有意に膵β細胞機能が改善することが報告されており併用による膵β細胞機能への相乗効果も期待Current Therapy 2012 Vol.30 No.12130791