カレントテラピー 30-12 サンプル page 21/30
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心臓脳神経保護食欲胃胃食物排泄糖産生心筋保護心拍出量消化管GLP-1インスリン感受性インスリン生合成β細胞増殖β細胞アポトーシス肝臓筋肉インスリン分泌グルカゴン分泌図2GLP-1の末梢組織での作用〔参考文献3)よ....
心臓脳神経保護食欲胃胃食物排泄糖産生心筋保護心拍出量消化管GLP-1インスリン感受性インスリン生合成β細胞増殖β細胞アポトーシス肝臓筋肉インスリン分泌グルカゴン分泌図2GLP-1の末梢組織での作用〔参考文献3)より引用改変〕においてインスリン分泌能が低い日本人に適した経口血糖降下薬であると考えられる.しかしながら,DPP -4阻害薬には2型糖尿病の病態の片翼を担うインスリン抵抗性に対しては有効な作用を有さない点に課題があった8).Ⅳピオグリタゾンチアゾリジン誘導体であるピオグリタゾン(アクトスR)は脂肪細胞分化にかかわるPPARγのリガンドとして作用し,主に脂肪細胞,骨格筋でのインスリン抵抗性を改善する.一方,インスリン分泌作用は有さないために単剤では低血糖をほとんどきたさない.ピオグリタゾンは単剤でHbA1c約1.0%の血糖降下作用を有し,SU薬と比べ3~5年とより長期の血糖降下作用を維持し得るとされる9).これまでにピオグリタゾンは血糖降下作用以外にも多彩な作用を有することが示されている.脂質においてはHDLコレステロール(HDL -C)を上昇,中性脂肪を低下させ10),インスリン抵抗性をもたらす脂肪11肝)に対しても改善効果を有する.さらには動脈硬化の指標とされる頸動脈中膜内膜複合体肥厚度(intima media thickness:IMT)の縮小作用を示し,抗動脈硬化作用も期待される12).高リスク2型糖尿病患者を対象としたPROactive studyではピオグリタゾン投与により全死亡,非致死性心筋梗塞,脳卒中の発症は3年間で16%低下し13),糖尿病大血管障害に対しても有効な薬剤であることが示されている.主要な副作用としては体重増加と浮腫が挙げられる.体重増加は皮下脂肪が増加するものの内臓脂肪は減少するなど,脂肪分布の変化によることが報告されている14).チアゾリジン誘導体による浮腫に関してはPPARγを介して遠位尿細管上皮性Naチャネルの発現を亢進し,ナトリウム再吸収が亢進することが原因と推測されている.浮腫に対する各種利尿薬の効果を比較した検討においてはスピロノラクトンとヒドロクロロチアジドが有効であった15).近年,フランス保健製品衛生安全庁(AFSSAPS)がピオグリタゾンを有効成分とする医薬品使用患者の膀胱癌発生リスクに関する疫学研究(CNAMTS研究)において,ピオグリタゾン使用患者では非使用患者90Current Therapy 2012 Vol.30 No.121306