カレントテラピー 30-12 サンプル page 20/30
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概要:
2型糖尿病の病態経口血糖降下薬糖毒性インスリン抵抗性増大インスリン分泌能低下インスリン作用不足改イ善ン系スリン抵抗性促イ進ン系スリン分泌種類ビグアナイド薬チアゾリジン薬DPP-4阻害薬スルホニル尿素薬高血糖....
2型糖尿病の病態経口血糖降下薬糖毒性インスリン抵抗性増大インスリン分泌能低下インスリン作用不足改イ善ン系スリン抵抗性促イ進ン系スリン分泌種類ビグアナイド薬チアゾリジン薬DPP-4阻害薬スルホニル尿素薬高血糖食後高血糖空腹時高血糖食後高血糖改善系速効型インスリン分泌促進薬α-グルコシダーゼ阻害薬主な作用肝臓での糖新生の抑制骨格筋・肝臓でのインスリン感受性の改善血糖依存性のインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制インスリン分泌の促進より速やかなインスリン分泌の促進・食後高血糖の改善炭水化物の吸収遅延・食後高血糖の改善図12型糖尿病の病態と経口血糖降下薬の選択〔糖尿病治療ガイド2012 -2013,日本糖尿病学会編,2012より引用〕上昇させることによってインスリン分泌を促進する.インクレチンによるインスリン分泌促進作用は血中ブドウ糖濃度依存的に発現し,血中ブドウ糖濃度が低い場合にはこの作用は生じない.したがってGIP,GLP -1は低血糖のリスクが低く,高血糖を是正する働きを担うホルモンとして臨床応用が試みられてきた.このうちGLP-1は血中ブドウ糖濃度依存的なインスリン分泌促進作用に加え,膵α細胞からのグルカゴン分泌抑制作用,胃からの食物排泄遅延作用,心筋保護作用,中枢神経系での直接的な食欲抑制作用などを有することが明らかにされている(図2)3).げっ歯類においてはGLP -1投与により膵4β細胞量の増加やアポトーシス抑制)が報告されており,その膵保護作用に期待が寄せられている.2型糖尿病患者においてGLP -1分泌能は減弱している一方,GLP -1によるインスリン分泌促進能は比較的保たれていることから,GLP-1は新たな糖尿病治療薬としての可能性が示唆されてきた.しかしながらGLP -1は生体内でジペプチジルペプチダーゼ-4(dipeptidyl peptidase -4:DPP-4)により速やかに不活性化されてしまうため,GLP-1そのものを糖尿病治療薬として開発することは困難であった.そこでGLP -1を不活性化するDPP -4を選択的に阻害することでGLP -1の生理活性を高める方法が考案された.Ⅲアログリプチンアログリプチン(ネシーナR)は高選択的にDPP -4活性を阻害し,生体内の活性型GLP -1濃度を生理的濃度の約2倍に上昇させることで血中ブドウ糖濃度依存的にインスリン分泌を促進する.血漿中DPP -4阻害率はアログリプチン25mg投与により約1時間後にはピークの96%に達し,投与後24時間でも約81%と高率に阻害することから1日1回内服でも持続的にDPP -4活性を阻害すると考えられる.1日1回投与で食後血糖のみならず空腹時血糖も改善することから服薬コンプライアンスの向上も期待される.従来,インスリン分泌不全に対してはスルホニル尿素(SU)薬が広く用いられてきたが低血糖のリスクや体重増加をきたす点で適用に注意を要した.特に重症低血糖は血糖管理による合併症予防効果を相殺してしまう可能性があり注意を要する5).一方,アログリプチンは単剤ではほとんど低血糖,体重増加をきたすことなくHbA1c約0.8%の血糖降下作用を有する6).マウスにおいてはアログリプチン投与により膵島におけるインスリン陽性細胞の増加を認め,血糖降下作用に加え膵保護作用も有することが示唆されている7).したがって,膵β細胞に負担をかけることなくインスリン分泌を促進する点Current Therapy 2012 Vol.30 No.12130589