カレントテラピー 30-12 サンプル

カレントテラピー 30-12 サンプル page 19/30

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配合剤の現状と展望リオベルR:アクトス+DPP-4阻害薬の糖尿病用配合剤a b s t r a c t*近藤義宣2型糖尿病はインスリン分泌不全とインスリン抵抗性増大の双方を病態の基盤としている.ジペプチジルペプチダーゼ-4(....

配合剤の現状と展望リオベルR:アクトス+DPP-4阻害薬の糖尿病用配合剤a b s t r a c t*近藤義宣2型糖尿病はインスリン分泌不全とインスリン抵抗性増大の双方を病態の基盤としている.ジペプチジルペプチダーゼ-4(dipeptidyl peptidase-4:DPP-4)阻害薬であるアログリプチンはグルカゴン様ペプチド-1(glucagon-like peptide-1:GLP-1)の不活性化を抑制することで血中ブドウ糖濃度依存的にインスリン分泌を促進し,低血糖,体重増加をきたすことなく血糖を改善する.ピオグリタゾンは脂肪細胞分化にかかわるPPARγのリガンドとして作用し,脂肪細胞,骨格筋,肝臓でのインスリン抵抗性を改善する.アログリプチン/ピオグリタゾン配合錠(リオベルR)は1剤でインスリン分泌不全とインスリン抵抗性の双方を改善する効果を有する配合錠であり,併用により持続的な血糖改善効果のみならず,膵β細胞機能,脂質改善効果においてもその相乗効果が期待される.Ⅰはじめに2型糖尿病は膵β細胞からのインスリン分泌不全と,各組織でのインスリン抵抗性増大の双方を病態の基盤としている(図1).インスリン分泌不全は耐糖能障害の時期から始まっており,インスリン分泌能は2型糖尿病と診断された時点ですでに健康成人のほぼ半分まで低下し,糖尿病発症後も年間約4%ずつ低下してゆく1).インスリン抵抗性の増大も同様に2型糖尿病発症のはるか以前から生じており,早期においては膵β細胞容積を増大させてインスリン分泌能を高めることでインスリン抵抗性を代償している.しかし高血糖の持続は膵β細胞の容積減少や細胞数減少を招き,その結果,糖尿病発症に至る2).高血糖状態の持続は糖毒性となってさらなるインスリン分泌不全とインスリン抵抗性を招き,悪循環を形成して病態を進行させる.したがって2型糖尿病治療においてはインスリン分泌不全とインスリン抵抗性の双方を制御し,良好な血糖コントロールを維持することが重要となる.Ⅱインクレチンインクレチンは食事摂取に伴い消化管から分泌され,膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称である.これまでに上部小腸のK細胞から分泌されるグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(glucose -dependent insulinotropicpolypeptide:GIP)と下部小腸のL細胞から分泌されるグルカゴン様ペプチド-1(glucagon -likepeptide -1:GLP -1)の2つのホルモンがインクレチン作用を有することが確認されている.GIPとGLP -1はともに膵β細胞膜上に発現しているGタンパク質共役受容体に結合して細胞内のcAMP濃度を*茅ヶ崎市立病院代謝内分泌内科医長88Current Therapy 2012 Vol.30 No.121304