カレントテラピー 30-12 サンプル

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A141210864収縮期血圧降圧効果(mmHg)半量標準量2倍量チアジドCCBARBACE阻害薬β遮断薬B20151050-5副作用発現頻度(%)半量標準量2倍量チアジドCCBARBACE阻害薬β遮断薬図1通常量からの増減による降圧効果と副作....

A141210864収縮期血圧降圧効果(mmHg)半量標準量2倍量チアジドCCBARBACE阻害薬β遮断薬B20151050-5副作用発現頻度(%)半量標準量2倍量チアジドCCBARBACE阻害薬β遮断薬図1通常量からの増減による降圧効果と副作用発現頻度の変化〔参考文献3)より引用改変〕あったが,JNC -3(1984年)では25~50mg/日,JNC -4(1988年)以降では12.5~50mg/日と,改訂を重ねるにつれて低用量になった.現在の日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2009』2)においては,HCTZの推奨使用量は12.5mg/日以下である.チアジド系利尿薬は,遠位尿細管のNa+-Cl -共輸送を阻害し,Na+と水の再吸収を抑制することで尿排泄を増加させ,循環血漿量を減少させる.チアジド系降圧利尿薬のNa+利尿作用によりレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系が活性化されるが,これがチアジド系利尿薬の長期使用時における降圧効果減弱の機序のひとつと考えられている.図2は,自然発症高血圧ラットに,HCTZ20mg/kgを17週間連続経口投与した際の血漿レニン活性(plasma renin activity:PRA)および血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration:PAC)を示す4).HCTZはPRAおよびPACをコントロール群と比べ有意に増加させ,RAA系活性を刺激することが明らかとなったが,このようなRAA系活性が亢進した状況下では,ARBやACE阻害薬などのRAA系阻害薬の効果が発揮されやすい.これらの結果は,HCTZとARBの併用ではHCTZ通常量の半量や1/4量でも降圧効果が発揮されることを支持しており,HCTZを少量化することにより用量依存的な低カリウム血症,高尿酸血症,耐糖能障害などのHCTZによる代謝系副作用の出現がかなり予防できると期待されている.ARB/HCTZの有用性を示した大規模臨床試験として,ロサルタンとアテノロールを対象としたPRA(ngAI/mL/時)109876543210ControlPAC(pg/mL)1,0009008007006005004003002001000HCTZPACPRA図2 HCTZによるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系活性化作用〔参考文献4)より引用改変〕LIFE試験の結果が挙げられる5).LIFE試験は,心電図上の左室肥大を有する本態性高血圧患者を対象に,すでに心保護効果が証明されているβ遮断薬アテノロールとロサルタンの心血管イベント抑制効果を比較した大規模臨床試験である.プロトコル上,両群ともに第二選択薬としてHCTZが選択され,解析対象となった両群の約8割がHCTZ(12.5~25mg)を併用したため,結果的にアテノロール/HCTZとロサルタン/HCTZとの比較対照試験とも解釈されている.結果は,降圧度は両群間に差はなく,一次エンドポイントである心血管死および心筋梗塞,脳卒中の発症はロサルタン群とアテノロール群でそれぞれ23.8/1,000人・年,27.9/1,000人・年と,ロサルタン群で有意に少なく,その相対危険度は0.87(p=0.021)であった.また,脳卒中と糖尿病の発症率がロサルタン群で有意に低く,アテノロール/HCTZと比較した際のロサルタン/HCTZの優位性が示された.52Current Therapy 2012 Vol.30 No.121268