カレントテラピー 30-12 サンプル page 14/30
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配合剤の現状と展望降圧配合剤の用量臨床薬理学的考察*竹内和彦アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)・ヒドロクロロチアジド(HCTZ)配合剤は降圧配合剤のなかで最も古い.HCTZは半世紀以上前に市販され,他の降....
配合剤の現状と展望降圧配合剤の用量臨床薬理学的考察*竹内和彦アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)・ヒドロクロロチアジド(HCTZ)配合剤は降圧配合剤のなかで最も古い.HCTZは半世紀以上前に市販され,他の降圧薬に勝るとも劣らないエビデンスを有するにもかかわらず,代謝系副作用のため日常診療での使用率が低いことが懸念されてきた薬剤である.現在市販されているARB・HCTZ配合剤のHCTZの量はかつての通常用量の1/4以下であるが,これは他の降圧系配合剤を構成する降圧薬成分量と比較してきわめて低い.低用量HCTZとARBの配合剤が登場した背景には,1HCTZの代謝系副作用は用量依存度が大きいため低用量化による副作用出現率の低減が顕著であること,2ARBがHCTZの低カリウム血症などの代謝系副作用を相殺する方向に働くこと,3HCTZによるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系刺激下でARBの効果が相加・相乗的に発揮されること,4HCTZの使用率が高くなりHCTZの豊富なエビデンスが日常診療に広く反映されること,5LIFE試験などの大規模臨床試験が低用量HCTZとARBとの併用効果を明らかにしたこと,などがある.Ⅰはじめに加え配合剤とした経緯を中心に,臨床薬理学的考察を踏まえながら解説する.現在,本邦で使用可能な降圧配合剤は,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)とチアジド系降圧利尿薬ヒドロクロロチアジド(HCTZ),ARBとカルシウム拮抗薬(CCB),CCBと脂質異常症治療薬アトルバスタチンの3種である(表1).降圧配合剤としては,ARBとHCTZの配合剤が最初に登場し,現在4社から発売されている.日常診療で使用されている半量から通常用量の薬剤の組合せがほとんどを占めるが,HCTZのみ通常用量の1/4量から半量といった他剤と比較しきわめて少ない用量を採用している.本稿では,ARBに通常用量の半量以下のHCTZをⅡチアジド系降圧利尿薬のエビデンスチアジド系利尿薬は,本邦での製造販売承認が1959年で,世界的にも最も古い降圧薬のひとつである.そのため多くの臨床試験が行われ,その有用性が示されてきた(表2)1).しかしながら,後に登場したCCBや交感神経系受容体遮断薬,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系阻害薬におされ,多くの有用性を示したエビデンスを有するにもかかわらず,そのエビデンスが臨床現場で十分活かされていないことが各国の高血圧専門委員*浜松医科大学臨床薬理学講座准教授50Current Therapy 2012 Vol.30 No.121266