カレントテラピー 30-12 サンプル

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概要:
血管収縮RA系体液量食塩高レニン性高血圧レニン産生腫瘍/悪性高血圧1K 1C腎血管性高血圧高レニン性本態性高血圧正レニン性本態性高血圧低レニン性本態性高血圧2K 2C腎血管性高血圧原発性アルドステロン症RA系阻害薬....

血管収縮RA系体液量食塩高レニン性高血圧レニン産生腫瘍/悪性高血圧1K 1C腎血管性高血圧高レニン性本態性高血圧正レニン性本態性高血圧低レニン性本態性高血圧2K 2C腎血管性高血圧原発性アルドステロン症RA系阻害薬利尿薬体液過剰性高血圧図2高血圧発症の血管収縮-体液量説〔参考文献2)より引用改変〕可能となる根拠である.また,二カ所を引っ張るとするとその引っ張る場所が重要であり,降圧薬でいえばその組み合わせが重要となる.一方,コーネル大学のLaragh教授は血圧が血管収縮と体液のバランスから成り立っていること,およびその破綻が高血圧であるとする,vasoconstriction -volume(血管収縮-体液量)説を提唱した(図2)2).この考えでは,体液量が高血圧に強く関与する場合は利尿薬,血管収縮がより強く関与する場合は血管拡張薬を投与するなど,治療薬の選択と関連する.したがって併用を行う場合は,このバランスをとるような組み合わせが有効である.Ⅱ有効な併用療法高血圧治療の目的は,高血圧に伴う臓器障害の進展を抑制し,心血管病の発症を減少させることである.この目的の達成のために最も重要なことは,厳格な血圧コントロールである.この厳格なコントロールを行うためには,2~3種類の降圧薬の併用が必要であることが多い.しかし,降圧薬を単剤で標準量もしくは高用量使用するよりも,他のクラスの降圧薬を併用したほうがより降圧度が高いことが報告されている.Mahmudらは,108人の無治療高血圧患者をアムロジピン5mg投与群(22名),アテノロール50mg投与群(20名),ベンドロフルメチアジド2.5mg投与群(22名),カプトプリル100mg投与群(22名)および4剤の各々1/4量をカプセルに入れた併用群(22名)の5群に分けて降圧効果を検討し(mmHg)30*収縮期20血圧の変化100併用カプトプリル*p<0.01 vs.各単剤アムロジピンアテノロールベンドロフルメチアジド図3併用療法の有用性〔参考文献3)より引用改変〕た3).その結果,図3に示すように併用治療がそれぞれの単剤投与群と比較して,有意に降圧効果が高いことを示した.またWaldらは,42の研究からメタ解析を行い,それぞれのクラスの薬剤を倍量にした場合と,その他のクラスの薬剤を併用した場合の降圧効果を検討した.その結果,図4に示すように他のクラスの薬剤の併用は,単剤の倍量で使用する場合と比較して約5倍降圧効果が強いことを報告している4).また,2剤併用時の降圧効果は,病態によっても変わってくる.日本人は約11g/日の食塩を摂取しており,食塩摂取過剰状態である.これに加え,食塩感受性も高く,食塩貯留傾向の高い集団である.このような食塩感受性が高い日本人では,ARBに利尿薬を組み合わせることによってARBの効果が最大化され,相乗的な効果がもたらされる(図5)5).Current Therapy 2012 Vol.30 No.12124327