カレントテラピー 30-11 サンプル

カレントテラピー 30-11 サンプル page 10/36

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 30-11 サンプル の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
脳卒中―変貌する治療・予防戦略非心原性脳梗塞の再発予防,抗血小板薬の使い分け*1*2中村智実・内山真一郎脳梗塞の再発予防には,血管リスクの管理と抗血栓療法の二本柱が重要である.再発予防においても降圧療法....

脳卒中―変貌する治療・予防戦略非心原性脳梗塞の再発予防,抗血小板薬の使い分け*1*2中村智実・内山真一郎脳梗塞の再発予防には,血管リスクの管理と抗血栓療法の二本柱が重要である.再発予防においても降圧療法の重要性は確認されているが,糖尿病と脂質異常症の管理についてはエビデンスが少ない.非心原性脳梗塞の再発予防には抗血小板薬が推奨される.アスピリンは安価でエビデンスが最も豊富であるが,アスピリンレジスタンスが問題となり,特に血管リスクを併せもつ場合は効果が十分でない可能性がある.クロピドグレルは,アスピリンに比して再発予防効果がやや優れ,特に糖尿病合併例などのハイリスク症例や末梢動脈疾患合併例に適していると考えられる.ただし,アスピリンとの併用で出血合併症が有意に増加する.シロスタゾールは,再発予防効果がアスピリンよりやや優れ,出血合併症も有意に少ないが,頭痛と頻脈が問題となる.抗血小板薬は,有効性,安全性,副作用,薬価などを考慮し,個別に薬剤を選択する必要がある.Ⅰはじめに脳梗塞は,頭蓋内外の大血管のアテローム血栓に基づくアテローム血栓性脳梗塞,大血管病変がなく穿通枝領域の皮質下小梗塞であるラクナ梗塞と,心房細動などの塞栓性心疾患に基づく心原性脳塞栓症,およびその他に分類され,非心原性脳梗塞であるアテローム血栓性脳梗塞や,ラクナ梗塞と心原性脳塞栓症は,再発予防としての抗血栓療法において適応となる薬剤が異なる.すなわち,心原性脳塞栓症においては,心腔内で形成されたフィブリン血栓が主として脳に飛翔するため,再発予防としては抗凝固療法が選択されるが,非心原性脳梗塞においては血栓の形成に血小板が主に関与しているため,抗血小板療法が選択される.近年,脳梗塞の再発予防に関しては大規模臨床試験による新たなエビデンスが集積され,変貌を遂げつつある.本稿では,非心原性脳梗塞の再発予防としての血管リスクの管理について解説し,さらに抗血小板療法について,いくつか選択肢のある抗血小板薬を「使い分ける」という観点から述べる.Ⅱ血管リスクの管理1高血圧症脳卒中の再発予防における降圧療法の有効性を示す大規模臨床研究として,Perindopril ProtectionAgainst Recurrent Stroke Study(PROGRESS)がある.PROGRESSでは,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬単独,またはACE阻害薬と利尿薬併用群はプラセボ群に比して収縮期血圧で平均9mmHg,拡張期血圧は平均4mmHg低下したが,*1東京女子医科大学神経内科准講師*2東京女子医科大学神経内科主任教授Current Therapy 2012 Vol.30 No.11113737