カレントテラピー 30-10 サンプル page 6/42
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予後グループ良好群遺伝子異常t(8;21)(q22;q22);RUNX1- RUNX1T1inv(16)(p13q22)/t(16;16)(p13;q22);CBFB- MYH11NPM1変異陽性FLT3 -ITD陰性(正常核型)CEBPA変異(正常核型)中間群ⅠNPM1変異陽性....
予後グループ良好群遺伝子異常t(8;21)(q22;q22);RUNX1- RUNX1T1inv(16)(p13q22)/t(16;16)(p13;q22);CBFB- MYH11NPM1変異陽性FLT3 -ITD陰性(正常核型)CEBPA変異(正常核型)中間群ⅠNPM1変異陽性FLT3 -ITD陽性(正常核型)NPM1野生型FLT3 -ITD陽性(正常核型)NPM1野生型FLT3 -ITD陰性(正常核型)中間群Ⅱt(9;11)(p22;q23);MLLT3- MLL良好群および不良群以外の染色体異常不良群inv(3)(q21q26)/t(3;3);RPN1- EVI1t(6;9)(p23;q34);DEK- NUP214t(v;11)(v;q23);MLL転座-5/del(5q);-7;17p異常複雑核型表1染色体および遺伝子異常に基づく急性骨髄性白血病のELN分類〔参考文献9)より引用改変〕第二に予後良好群であっても若年者のOSが60~70%で必ずしも全例が予後良好ではない.AMLが複数の遺伝子異常の蓄積によって発症するのであれば,単一染色体異常例の予後が均一ではないことも理解できる.AMLの診断に染色体異常のみならず,遺伝子の点突然変異の解析の導入が必然であった.ⅢAMLのFLT3,CEBPA,NPM1遺伝子変異受容体型チロシンキナーゼFLT3の膜近傍部の重複変異(internal tandem duplication:FLT3 -ITD)はAML全体の約20%,正常核型の約30%に認める活性化変異である5).また,FLT3の第二チロシンキナーゼ領域(tyrosine kinase domain:TKD)の活性化変異であるFLT3 -TKD変異も,AMLの約5%にみられる.FLT3 -ITDは予後不良,FLT3 -TKD変異は予後に関与しない5).CEBPAは骨髄系細胞の分化に必須の転写因子C/EBPαをコードし,その遺伝子変異は機能喪失変異である.N端の転写活性化領域とC端のDNA結合領域の両者の変異例が多く,両アレルの変異例が予後良好とされる6).CEBPA変異例はAMLの8%前後に認め,FAB分類のM1やM2に多く,アウエル小体陽性,CD7陽性例が多い.NPM1の変異はC端に集中し,核移行ができなくなる機能喪失変異である7).NPM1変異はAMLの約30%,正常核型では約40%に認める.NPM1変異はFLT3 -ITDなどとの重複が多く,その予後は共存した遺伝子異常によって異なる.Schlenkらのグループは正常核型AMLにおいてFLT3,CEBPA,NPM1,RASおよびMLL -PTD変異を解析し,79%に少なくともひとつの遺伝子異常を同定した8).FLT3 -ITD陰性NPM1変異例およびCEBPA変異例の予後は良好であり,FLT3 -ITDを含むその他の例の予後は不良であるとした.また,予後不良例は同種移植により救済される可能性を示唆した.この報告はEuropean LeukemiaNet(ELN)のリスク分類に取り上げられている(表1)9).ⅣAMLの新規遺伝子変異AML細胞の全ゲノムあるいは全エクソンのシークエンス解析により,IDH1,DNMT3A,BCORなどの遺伝子変異が新たに同定された.また,骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasm:MPN)や骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)のSNPアレイ解析により,TET2やASXL1などの遺伝子変異が見いだされ,AMLにも同定された(表2).IDH1,IDH2はそれぞれ細胞質,ミトコンドリアCurrent Therapy 2012 Vol.30 No.109959