カレントテラピー 30-10 サンプル page 21/42
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概要:
エビデンスに基づく治療Update9mg/m 2をday 1と15(骨髄の回復が不十分な場合は適宜延長)の2回投与で,CR 13%とCRp 13%で全奏効率(overall response rate:ORR率)は26%,50%無病生存期間はCR例で6.3カ月,CRp....
エビデンスに基づく治療Update9mg/m 2をday 1と15(骨髄の回復が不十分な場合は適宜延長)の2回投与で,CR 13%とCRp 13%で全奏効率(overall response rate:ORR率)は26%,50%無病生存期間はCR例で6.3カ月,CRp例で4.5カ月が得られた28).国内においても,登録例20人のうち,CRが5人,CRpが1人に認められ奏効率が30%となり,GO単独療法の効果が認められた29).GOはDNR,IDR,Ara-C,FLD,MITなどとの種々の併用療法で有効性が高く,国内では,Japan AdultLeukemia Study Group(JALSG)がGOにIDR+Ara -CあるいはDNR+Ara -Cを併用した第I相試験を施行し,IDR(12mg/m 2 days 1~3)+Ara -C(100mg/m 2 days 1~7)+GO 3mg/m 2 day 4およびDNR(50mg/m 2 days 1~5)+Ara -C(100mg/m 2days 1~7)+GO 3mg/m 2(day 6)の併用の安全性が確認された30).ⅣAMLに対する化学療法の副作用IND療法,PRM療法のいずれも強力な併用化学療法が施行されるため,多くの副作用が発現する.その一つひとつに適切な支持療法を行うことが,AML治療を成功させる決め手となる.1嘔気・嘔吐Ara -C,DNR,IDRの併用療法やHDAC療法は強い催吐性を有する.治療前よりセロトニン拮抗薬などの制吐剤を投与し,嘔気・嘔吐の予防をする.2骨髄抑制に伴う血球減少症骨髄を治療標的としていることから,すべての患者で正常な血球の著明な減少が現れる.貧血および血小板減少症に対しては,赤血球輸血や血小板輸血が適宜施行される.好中球減少症に対するG -CSF治療は,通常IND療法では行われない.3感染症好中球減少症の持続に伴い細菌性,真菌性,ウイルス性感染症の発症頻度は高く,多くは重篤である.感染症発症時は速やかに抗菌剤の投与を行う必要がある.また,感染症発症リスクを減ずるために,可能な限り無菌室を利用し,抗真菌剤や抗生剤の予防内服投与を行う.4その他の副作用IND療法の初期に認められる腫瘍崩壊症候群,閉経前の女性での遷延する生理出血,化学療法剤や抗菌剤による肝機能障害,腎障害,肺障害や心機能障害などに対する適切な対症療法を施行する.ⅤおわりにAMLの治療は,過去40年間に多くの抗白血病薬(抗がん剤)による併用化学療法が試みられ,IND療法として,標準量Ara -Cと十分量のDNRあるいはIDRとの併用療法(7+3あるいは7+5療法),PRM療法として,HDAC療法あるいは多剤併用療法が現時点の標準的な治療法とされる.CR率は8割近くに改善したものの,CR患者の約4割が再発し,約2割が初回IND療法でCR未到達となり,AML全体の5年OSは5割にとどまる.AMLの治療成績を向上させるためには,有効な薬剤の開発を含めた効果的な治療法の開発が必要である.参考文献1)Usui N, Dobashi N, Kobayashi T, et al:Role of daunorubicinin the induction therapy for adult acute myeloid leukemia. JClin Oncol 16:2086-2092, 19982)Ohtake S, Miyawaki S, Fujita H, et al:Randomized study ofinduction therapy comparing standard -dose idarubicin withhigh -dose daunorubicin in adult patients with previouslyuntreated acute myeloid leukemia:the JALSG AML201Study. Blood 117:2358 -2365, 20113)Fernandez HF, Sun Z, Yao X, et al:Anthracycline doseintensification in acute myeloid leukemia. N Engl J Med361:1249 -1259, 20094)Bishop JF, Matthews JP, Young GA, et al:A randomizedstudy of high -dose cytarabine in induction in acute myeloidleukemia. Blood 87:1710 -1717, 19965)Weick JK, Kopecky KJ, Appelbaum FR, et al:A randomizedinvestigation of high -dose versus standard -dose cytosinearabinoside with daunorubicin in patients with previouslyuntreated acute myeloid leukemia:a Southwest OncologyGroup study. Blood 88:2841-2851, 19966)Phillips GL, Reece DE, Shepherd JD, et al:High -dose cytarabineand daunorubicin induction and postremission chemotherapyfor the treatment of acute myelogenous leukemia inadults. Blood 77:1429 -1435, 19917)Lowenberg B, Pabst T, Vellenga E, et al;Dutch -BelgianCooperative Trial Group for Hemato -Oncology(HOVON)Current Therapy 2012 Vol.30 No.10101529