カレントテラピー 30-10 サンプル

カレントテラピー 30-10 サンプル page 19/42

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エビデンスに基づく治療UpdateELN Genetic Risk GroupFavorable(予後良好群)Intermediate-Ⅰ(予後中間群-1)Intermediate-Ⅱ(予後中間群-2)Adverse(予後不良群)Subsetst(8;21)(q22;q22);RUNX1 -RUNX1T....

エビデンスに基づく治療UpdateELN Genetic Risk GroupFavorable(予後良好群)Intermediate-Ⅰ(予後中間群-1)Intermediate-Ⅱ(予後中間群-2)Adverse(予後不良群)Subsetst(8;21)(q22;q22);RUNX1 -RUNX1T1inv(16)(p13.1q22)or t(16;16)(p13.1;q22);CBFB -MYH11Mutated NPM1 without FLT3 -ITD(normal karyotype)Mutated CEBPA(normal karyotype)Mutated NPM1 and FLT3 -ITD(normal karyotype)Wt -NPM1 and FLT3 -ITD(normal karyotype)Wt -NPM1 without FLT3 -ITD(normal karyotype)t(9;11)(p22;q23);MLLT3 -MLLCytogenetic abnormalities not classified as favorable or adverseinv(3)(q21q26.2)or t(3;3)(q21;q26.2);RPN1 -EVI1t(6;9)(p23;q34);DEK -NUP214t(v;11)(v;q23);MLL rearranged(-5)or de(5q)(-7)abn(17p)complex karyotype表3細胞遺伝学的および分子遺伝学的所見に基づくAMLの予後予測European LeukemiaNet(ELN)の提唱INT - 1とINT - 2を含む),予後不良(adverse:ADV)群のいずれに属するかにより,PRM療法の選択が異なる(表3).1予後良好群(FAV群)のPRM療法IND療法後の第一寛解期(CR1)での,PRM療法として,Allo -HCT療法の有用性を検討した国内外のメタアナリシスでは,FAV群におけるAllo -HCT療法のベネフィットはなかった13)~15).FAV群では,CON療法後の再発リスクは35%以下であり,再発リスクは低いがTRM率が20%のAllo-HCT療法を,CR1で選択する利点はない.CON療法の化学療法では,HDAC療法が比較的安全に用いられ,6割近くの5年-無病生存(DFS)率,6~7割を超える5年-OS率が得られる16)~18).この群では,ミトキサントロン(mitoxantron:MIT)を加えた種々のANTやエトポシド(etoposide:ETP),ビンカアルカロイドのビンデシン(vindesine:VDS)などを用いる多剤併用化学療法も施行される.5年-DFS率とOS率は,HDAC療法は57%と75%で,多剤併用化学療法は39%と66%となっており,有意差はないがHDAC療法の成績がやや勝っている17).HDAC療法は,海外では,3g/m 2の3時間div -12時間x2回/日(days 1, 3, 5)の計6回/コースを3コース16), 19),国内では保険適応のある2g/m 2の3時間div -12時間x2回/日(days 1~5)の計10回/コースを3コース17)が用いられる.CON療法として至適なHDACコース数は,不明であるが,3コース以上群とそれ以下を比べると,後者が有意に不良であったことから20),通常は3コース以上を用いる.2予後中間群(INT群)のPRM療法INT群のPRM療法は,CON療法,Auto -あるいはAllo -HCT療法のいずれの治療法も選択し得る.CON療法には,HDAC療法や多剤併用化学療法がある.INT群の5年-DFS率とOS率は,HDAC療法は38%と53%,多剤併用化学療法は39%と54%と同等の成績が報告されている17).Auto -HCT療法は,骨髄破壊的治療により強力なMRDの除去が可能となり,Allo-HCT療法に比べて再発率は高いが,TRMが少ないことから選択される.しかし,Auto -HCTとMITやETPを含む化学療法のCON療法との比較では,4年- RFSは,38%と29%で化学療法に勝るが,5年-OSは44%と41%と同等であった21).これは,化学療法群では,再発後の化学療法とAllo -HCTによる救援療法が有効な場合が多いためである.Allo -HCT療法では,骨髄破壊的治療と白血病細胞に対する免疫学的効果(graft versus leukemia:GVL)によりMRDを最も強力に除去できる.INT群のAllo -HCTは,移植可能な35~40歳以下の若年AMLにおいては,4年-DFSはおよそ48%と,化学療法,Auto-HCTよりも高い成績が期待できる13)~15).Current Therapy 2012 Vol.30 No.10101327