カレントテラピー 30-10 サンプル

カレントテラピー 30-10 サンプル page 16/42

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白血病治療の最前線―EBMの先にあるもの急性骨髄性白血病(AML)の化学療法*薄井紀子若年成人(16歳以上,60~65歳未満)急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)〔急性前骨髄球性白血病(acute promyeloc....

白血病治療の最前線―EBMの先にあるもの急性骨髄性白血病(AML)の化学療法*薄井紀子若年成人(16歳以上,60~65歳未満)急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)〔急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)を除く〕に対する化学療法の初回寛解導入療法は,シタラビン(cytarabin:Ara-C)(100?200mg/m 2 7日間持続点滴)とダウノルビシン(daunorubicin:DNR)(50mg/m 2 -5日間点滴あるいは60?90mg/m 2 -3日間点滴)の併用療法が推奨され,イダルビシン(idarubicin:IDR)(12mg/m 2 -3日間点滴)もオプションとして選択し得る.寛解後療法は,AML診断時の予後予測因子を考慮し,予後良好群には,高用量Ara-C療法などの化学療法による地固め療法が選択される.予後中間群および不良群では,地固め療法後に造血細胞移植療法の導入を考慮する.再発・治療抵抗性AMLの化学療法は,HDAC療法,MEC療法,FLAG療法などが選択される.AML細胞に表出されるCD33抗原を標的としたゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemutuzumab ozogamicin:GO)を含む併用療法は,再発・治療抵抗性AMLばかりでなく,初発AML治療にも高い有用性が示された.副作用に対する支持療法を行いつつAMLの化学療法が遂行される.Ⅰはじめに急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の治療理念は,白血病細胞を完全に除去(totalcell kill)し,正常の造血を回復し,これを長期に維持することである.診断時の白血病細胞はおよそ10 12個身体内に存在しており,寛解導入療法(inductiontherapy:IND)は,これを10 9個以下に減少させることを目的に施行される.白血病細胞が10 9個以下となると,光学顕微鏡レベルでは白血病細胞は検出されないが,実際には身体内には,まだ白血病細胞が残存しており,これらの微小残存病変(minimalresidual disease:MRD)を完全に除去するために,寛解後療法(post remission therapy:PRM)が施行される.急性前骨髄球性白血病(acute promyelocyticleukemia:APL)を除くAMLのうち高齢者は次章に譲り,若年成人(16歳以上,60~65歳未満)AMLに対する化学療法について概説する.ⅡAMLの初回治療法1寛解導入療法(IND療法)AMLのIND療法は,併用化学療法が治療の主体となり,代謝拮抗薬のシタラビン(cytarabine:Ara-C)と抗がん抗生剤であるアントラサイクリン*東京慈恵会医科大学附属第三病院腫瘍・血液内科診療部長24Current Therapy 2012 Vol.30 No.101010