カレントテラピー 30-10 サンプル

カレントテラピー 30-10 サンプル page 12/42

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白血病および関連腫瘍の病態と分類表2骨髄異形成症候群において変異(欠失も含む)が同定されている代表的な遺伝子カテゴリー経路・機能遺伝子変異体の機能頻度RASシグナル経路Mpl亢進5%Flt3亢進まれサイトカイン受....

白血病および関連腫瘍の病態と分類表2骨髄異形成症候群において変異(欠失も含む)が同定されている代表的な遺伝子カテゴリー経路・機能遺伝子変異体の機能頻度RASシグナル経路Mpl亢進5%Flt3亢進まれサイトカイン受容体細胞増殖関連C-KIT亢進まれCSFR1亢進まれシグナル抑制C-CBL低下~喪失(CMMLの5~25%)増殖停止・アポトーシス誘導TP53低下~喪失10%RUNX1低下~喪失10~20%転写因子転写調節CEBPA低下~喪失5%転写調節MLL亢進10%リボゾームタンパク翻訳RPS14(欠失)del(5q)を伴うMDSのほぼ全例エピゲノム制御代謝/エピゲノム制御TCAサイクル酵素10%SF3B1亢進?75%(環状鉄芽球を伴うMDS)7%(環状鉄芽球を伴わないMDS)SRSF2亢進?6%(環状鉄芽球を伴うMDS)12%(環状鉄芽球を伴わないMDS)U2AF35亢進?12%(環状鉄芽球を伴わないMDS)スプライソゾームRNAスプライシングまれ(環状鉄芽球を伴うMDS)(相互に排他的)ZRSR2低下~喪失8%(環状鉄芽球を伴わないMDS)SF3A1低下~喪失まれ(環状鉄芽球を伴わないMDS)PRPF40B低下~喪失まれ(環状鉄芽球を伴わないMDS)U2AF65低下~喪失まれ(環状鉄芽球を伴わないMDS)SF1低下~喪失まれ(環状鉄芽球を伴わないMDS)が認められる.このほか,増殖を直接正に制御すると考えられる遺伝子で変異が同定されているものとしては,低頻度ながらMplなどのサイトカイン受容体やJAK2などが知られている.一方,増殖シグナルを負に制御する代表的な分子であるp53も,約10%のMDSで変異が認められる.骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)に分類される慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia:CMML)で変異頻度が高い遺伝子としては,増殖シグナルを負に制御しているc -Cblが挙げられる.2転写調節分子転写因子や転写調節にかかわる分子でも,しばしば変異が認められる.このなかで最も頻度が高いのはRUNX1で,約10~20%のMDSで点変異が同定されている4).一方,CEBPAにも5%のMDSで点変異が認められる.これらは,いずれも機能喪失型変異と考えられ,RUNX1やCEBPAが生理的に担っている骨髄系細胞の分化促進機能が,変異によって損なわれる.また,MLLの部分重複変異(MLL -TD)も約10%と比較的頻度が高い.MLL -TDは,一種の機能亢進型変異である.EVI1は遺伝子内の変異ではないが,染色体転座に伴い(注:表1で,MDSにおける均衡型転座では,EVI1を含む3q21に転座点が多いことがわかる),高発現しているケースが多く,特にMDSからAMLに移行した症例では約5%の頻度で3q21の転座が認められる.MLL - TDやEVI1高発現は,標的遺伝子の発現制御などを通じて,Current Therapy 2012 Vol.30 No.10100115