カレントテラピー 30-1 サンプル

カレントテラピー 30-1 サンプル page 4/30

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これからの高血圧治療―残された課題への挑戦―企画自治医科大学内科学講座循環器内科学部門教授島田和幸エディトリアル日本高血圧学会が作成し,数年ごとに改訂される『高血圧治療ガイドライン』は,国内の治療ガイ....

これからの高血圧治療―残された課題への挑戦―企画自治医科大学内科学講座循環器内科学部門教授島田和幸エディトリアル日本高血圧学会が作成し,数年ごとに改訂される『高血圧治療ガイドライン』は,国内の治療ガイドラインの間で最大の発行部数を誇っている.実に高血圧治療は「カレントテラピー」においてメジャーな存在といってよい.この半世紀にわたる高血圧研究は,その成因,進展メカニズムの解明,そして降圧の介入へと基礎・臨床・社会医学面で多くの課題を克服し,エビデンスに基づいた治療戦略を立てることが可能となった.本特集は,現時点で残された課題は何か,それらをレビューして,明日の高血圧治療を展望することを目指した.高血圧は,遺伝,加齢,環境(生活習慣)の3要素が絡み合って成立する.最近のエピジェネティクスやアンチエイジングの研究が高血圧領域に導入されることにより,何が解明されたのか,最近の高血圧の病態理解の進歩をオーバービューする.高血圧の診断は,いうまでもなく「血圧値」に基づく.しかし,携帯型血圧測定やトノメトリーによる連続血圧波形が測定されるようになって,単に血圧レベルではなく,血圧の変動性や中心血圧(大動脈血圧)が推定できるようになり,従来の上腕カフ血圧測定値だけでは検出不可能な「高血圧の実態」が明らかになった.これらの新しい血圧指標,およびすでに循環器領域に導入されている各種バイオマーカーの臨床的意義が今ホットなトピックスとなっている.現在の高血圧治療指針の二大ポイントは,「厳格な降圧目標の達成」と「臓器保護」である.そのための方法論としての降圧薬併用療法がクローズアップされている.一方で,血圧ゴールについては,それほど明確なエビデンスがなく,特に高齢者や冠動脈疾患患者において従来からのJカーブ理論がいまだに健在である.降圧薬の第一選択薬の問題にしても,利尿薬が復権した反面,臓器保護の観点からβ遮断薬の位置づけが微妙となっている.これらは,いずれも臨床に直結した問題であって,現状を正しく理解することが重要である.本特集では,このほかに,直接的レニン阻害薬(DRI)はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB),アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を補完するのか,また最近改訂された『家庭血圧測定の指針』はどこがどうかわったのか,腎デナーベーションなどの高血圧のデバイス治療は果たして有効なのかなど,最新の話題を提供する.巻末では,実地診療で最も関心のある「治療抵抗性高血圧」について,高血圧治療のエキスパートであるお二人と対談した.「高血圧治療の次の一手」について実地診療上役に立つさまざまなヒント,テクニックを紹介したい.Current Therapy 2012 Vol.30 No.177