カレントテラピー 30-1 サンプル page 21/30
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糸球体硬化脳虚血障害抑制認知機能障害抑制酸化ストレス炎症酸化ストレス炎症ネフリンTGF-βコラーゲンⅣ酸化ストレス直接的レニン阻害薬酸化ストレス炎症冠動脈リモデリング血管内皮障害平滑筋増殖・遊走β細胞保護....
糸球体硬化脳虚血障害抑制認知機能障害抑制酸化ストレス炎症酸化ストレス炎症ネフリンTGF-βコラーゲンⅣ酸化ストレス直接的レニン阻害薬酸化ストレス炎症冠動脈リモデリング血管内皮障害平滑筋増殖・遊走β細胞保護インスリン分泌インスリン抵抗性耐糖能障害eNOS機能不全酸化ストレス炎症心肥大線維化図7直接的レニン阻害薬(アリスキレン)の臓器保護作用の機序-基礎データキレンとプラセボ群間で有意差はみられなかった.また,心血管死,心不全による入院,心筋梗塞の再発,脳卒中,蘇生した突然死の複合エンドポイントでも有意差はみられず,ACE阻害薬とレニン阻害薬の併用の有益性は証明されなかった.このように,心保護効果に関しては,従来のRA系阻害薬治療にDRIを併用することの有効性を支持する成績と支持しない成績の両方が報告されており,病態によって異なると考えられる.今後,併用療法が適した病態を明らかにする必要がある.Ⅵアリスキレンの臓器保護作用の機序われわれの基礎研究から,アリスキレンは組織の酸化ストレス減少作用や抗炎症作用をもち,多彩な多面的作用を介して臓器保護作用が期待される(図6,図7)12)?15).糖尿病マウス(db/dbマウス)においてアリスキレン,バルサルタンの単独投与と両薬剤併用の腎保護効果を比較検討したところ,尿アルブミン排泄の減少効果,糸球体硬化の抑制効果はそれぞれの単独投与に比べ,両薬剤併用のほうが有意に増強した14).また,糖尿病マウスでみられる糸球体のTGF -β1やコラーゲンⅣの発現増加,炎症および酸化ストレスの増加,糸球体ネフリンの発現低下の改善効果についても,両薬剤を併用投与するほうが単独投与よりも強力であることがわかった(図6)14).すなわち,われわれの基礎データでは糖尿病性腎症の治療にARBとDRIの併用が有効であることを示しており,AVOID試験の結果の機序を証明している.さらに,各種病態モデルを用いた研究から,13),15糖尿病や高血圧による心血管合併症),血管性12認知症)に対しても,アリスキレンの有効性が期待できる(図7).今後,臨床での証明が待たれる.Ⅶおわりにアリスキレンの腎保護および心保護効果を検討したこれまでの臨床研究は,対象症例数が少なく,治療期間も短く,評価項目がほとんどサロゲートエンドポイントであることから,アリスキレンの位置づけを明らかにするためには現在進行中の大規模臨床試験の結果を待つ必要がある.現在,2型糖尿病患者を対象に,アリスキレンの心・腎保護作用を検討するAliskiren Trial In Type 2 diabetes Using car-68Current Therapy 2012 Vol.30 No.168