カレントテラピー 30-1 サンプル

カレントテラピー 30-1 サンプル page 12/30

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A(mmHg)140130血圧120110100時間B(mmHg)140血圧130120110100時間図1通常の血圧変動(standard deviation:SD)と時間軸を考慮した血圧変動(time rate bloodpressure variability:TRBP)の違いA,Bともに平均血....

A(mmHg)140130血圧120110100時間B(mmHg)140血圧130120110100時間図1通常の血圧変動(standard deviation:SD)と時間軸を考慮した血圧変動(time rate bloodpressure variability:TRBP)の違いA,Bともに平均血圧も同値で,SDも10で同じであるが,TRBPはAで20,Bでは2.22と異なる.〔参考文献11)より引用改変〕Ⅲ短期血圧変動性短期血圧変動は主にABPMの測定から得られる指標で評価される.1血圧日内変動通常,血圧は覚醒時に高値を示し,睡眠時に低値を示す.夜間睡眠時に血圧が下降するが(dipper),なかには夜間の血圧下降がみられない例(non -dipper),さらには昼間の血圧レベルの20%以上の夜間降圧を示すextreme -dipper,また夜間よりも昼間の血圧レベルが高くなるriserに分類されている.Dipperに比べて,non -dipperやriserが心血管系イベント発症のリスクとなるとされており,高齢者の高血圧ではextreme -dipperが高血圧性臓器障害や心血管系イベント発症のリスクであると報告されている7).2早朝高血圧,モーニングサージ健常人においても,夜間は血圧が下がり,覚醒とともに血圧は上昇してくる.この早朝に伴う極端な血圧変動をモーニングサージとよぶ.確立された定義はないが,一般的には,ABPMでは早朝覚醒後2時間の平均を早朝血圧とすることが多い.夜間睡眠時における最低の血圧前後1時間の平均と早朝血圧の差をモーニングサージとしたところ,24時間血圧レベルとは独立して脳卒中イベントの危険因子であることが報告されている8).3血圧変動性一般にABPMの血圧変動というとこれを指す.24時間,覚醒時,睡眠時などの平均を算出したときの標準偏差(standard deviation:SD)を血圧変動として評価し,この指標が24時間平均血圧と独立して心血管系イベントの危険因子であることが報告されている.睡眠時のSDより覚醒時のSDのほうが,高血圧性臓器障害や心血管イベントと関連があるという報告が多い9).また,24時間のSDを計算した場合は,前述した血圧日内変動の覚醒時,睡眠時の血圧差をどうしても反映してしまうため,24時間の血圧のSDを評価する方法として,weighted SDという計算手法も報告されており,通常のSDよりもより臓器障害と関連があるという報告がされている10).さらに,図1に示すように,同じSDであっても時間軸を考慮した血圧変動が異なる場合がある11).すなわち,同じSDであっても長期間で変動するより短期間での変動が激しいと,後者のほうがより悪いということである.この手法も通常のSDよりも,この血圧変動係数のほうが高血圧性臓器障害により関係があるという報告も散見される.Ⅳ中期血圧変動性家庭血圧で評価した日間変動(day by day variability:HomeBPV)を指すことが多い.すなわち,仮にある個人が1カ月間,家庭血圧測定をした場合,その期間のすべての血圧データの平均値の標準偏差を指す.この血圧変動に関しては,一般住民を対象にした研究において心血管系死亡と関連するという報告がされており12),われわれのデータにおいても26Current Therapy 2012 Vol.30 No.126