カレントテラピー 29-7 サンプル

カレントテラピー 29-7 サンプル page 9/28

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特集●高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から質異常症の食事療法を中心に勧めることが望ましい.1)高LDL-C血症血清コレステロール,特にLDL -Cと動脈硬化の関連は大規模な疫学的調査により明らかになっている.....

特集●高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から質異常症の食事療法を中心に勧めることが望ましい.1)高LDL-C血症血清コレステロール,特にLDL -Cと動脈硬化の関連は大規模な疫学的調査により明らかになっている.LDL -Cを低下させるには摂取コレステロールの量を減らし,コレステロールの合成を減少させ,その異化を亢進させ,胆汁中への排泄を促進させることである.具体的には1摂取エネルギーの適正化(標準体重×25?30kcal/kg/日)を前提とし,2脂肪の摂取を20?25%に抑制する.3コレステロールの摂取を1日300mg以下に制限する.4飽和脂肪酸の摂取を制限し,不飽和脂肪酸の摂取を促進する(飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=1:1?2:1.5).多価不飽和脂肪酸および一価不飽和脂肪酸はコレステロール低下作用があるが,一価不飽和脂肪酸は二重結合が少なく体内では酸化されにくいため,望ましいとされている.コレステロールの排泄を食物繊維が促進するため,食物繊維総量として25g以上の摂取が望ましい.食物繊維は生理作用の違いから水溶性と不溶性に分類され,水溶性食物繊維はよりコレステロールを低下させることが明らかにされている.これらの食事療法によりコレステロールは5?10%低下するといわれている.2)高TG血症痛風患者でもみられるように一般的に高TG血症では低HDL -C血症やsmall dense LDLおよびremnant-likeparticleの増加があり,これらとの関連からも高TG血症は動脈硬化促進因子としてとらえられるようになってきた.痛風に合併するⅣ型脂質代謝異常症はVLDLの過剰合成と処理障害が原因となっており,これを改善させる食事療法が必要である.具体的には摂取エネルギーの適正化(標準体重×25?30kcal/kg/日)と三大栄養素のバランスに加え,ショ糖,果糖の摂取制限,飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸比率(1:1.5:1.3)の適正化,食物繊維摂取,飲酒の制限を行うことである.2運動療法運動によるカロリー消費は肥満の改善に有効である.しかし脂質がエネルギー源として利用されるには,有酸素運動でエネルギーを産生する状態が必要である.運動療法は血清TGの低下やHDL -Cの増加にも有効であるのみならず,血圧の低下,インスリン抵抗性の改善,内皮機能の改善をもたらし,冠動脈疾患の一次および二次予防にも有効である7) .有酸素運動は無酸素運動と比べてアデノシン三リン酸(ATP)の消費によるプリン分解は少なく,血中乳酸の増加も少ないため,血清尿酸値への影響は軽度である.そのため血清尿酸値の面からも有酸素運動が勧められる.運動量は最大運動能力の約50%の強度で,運動時間は1日30分以上を週に3回以上(できれば毎日),もしくは週に180分以上が推奨される.3薬物療法1)HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)スタチンはLDL -Cを最も強力かつ確実に低下させる薬剤であり,冠動脈疾患の一次予防,二次予防効果が証明され8),9) ,高LDL -C血症の第一選択薬となっている.本剤の作用メカニズムはコレステロールの合成酵素であるHMG -CoA還元酵素を拮抗阻害し,コレステロールの合成を減少させる.その結果,肝臓でのLDLレセプター数が増加し,コレステロールを含むLDLの取り込みが促進し,血中のコレステロール(LDL-C)が低下するというものである.2)陰イオン交換樹脂陰イオン交換樹脂は冠動脈疾患の発症抑制を,初めて証明した薬剤である.本剤は,胆汁酸を吸着し,腸管からの吸収を抑制することにより,コレステロールから胆汁酸への異化を亢進させる.次にコレステロールの異化の亢進は肝臓でのLDLレセプター数を増加させ,LDLの取り込みを亢進させることで,LDL -Cを低下させると考えられている.副作用に便秘,腹部膨満があるが,体内への吸収がなされないことから,腎障害のある患者,妊娠中あるいは妊娠可能女性にも投与が可能である.3)プロブコールプロブコールによるLDL -C低下作用はLDL -C異化亢進,合成の抑制,胆汁への排泄促進などが推測されている.しかしながら,プロブコールにはHDL -Cの低下作用があるため,低HDL -C血症患者への投与は慎重に行う必要がある.本剤は抗酸化剤Current Therapy 2011 Vol.29 No.7 19581