カレントテラピー 29-7 サンプル

カレントテラピー 29-7 サンプル page 7/28

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特集高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から高尿酸血症に関連する病態と臓器障害脂質代謝異常*藏城雅文1 *2・山本徹也abstract痛風患者の脂質代謝異常症の特徴はⅣ型脂質代謝異常症である.その出現には環境要....

特集高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から高尿酸血症に関連する病態と臓器障害脂質代謝異常*藏城雅文1 *2・山本徹也abstract痛風患者の脂質代謝異常症の特徴はⅣ型脂質代謝異常症である.その出現には環境要因や遺伝要因が関与していると思われる.また痛風患者の低比重リポタンパク(LDL)粒子は健常者と比較して小さく,LP(a)濃度も増加している.さらに高比重リポタンパク(HDL)コレステロールの低下もみられるのでⅣ型脂質代謝異常症に加え,これらの要因も痛風患者の動脈硬化に寄与していると思われる.そのため脂質異常症に対しては,高尿酸血症の治療も考慮しながら食事療法,運動療法,薬物療法を行う必要がある.運動療法においては,有酸素運動が有用であり,薬物療法においては,フェノフィブラート(フィブラート系薬剤)が尿酸排泄促進作用を有しており,高トリグリセリド(TG)血症を合併した症例の治療に有用である.Ⅰはじめにているので,本稿では高尿酸血症患者における脂質代謝異常症を中心に述べる.高尿酸血症は痛風の基盤となる疾患であり,遺伝要因と環境要因が原因となり発症する.近年,環境要因の変化,すなわち生活習慣の欧米化により,急速に増加している病態である.高尿酸血症を示す痛風患者では,腎障害,尿路結石などの,高尿酸血症と直接関連した疾患を合併するばかりでなく,高血圧,肥満,糖尿病,脂質代謝異常症といった高尿酸血症と直接関連のない疾患を合併することがよく知られている.高尿酸血症とともに高血圧,肥満,耐糖能異常,脂質代謝異常症はいわゆる生活習慣病の範疇に入る疾患で,動脈硬化に深くかかわっており,multiple risk factor syndromeを形成している.近年,動脈硬化性疾患が痛風患者の予後を決める因子になっているため,高尿酸血症における合併症の管理の重要性が増している.高血圧,肥満,糖尿病に関しては別の稿で述べられⅡ高尿酸血症における脂質代謝異常症の特徴男性脂質代謝異常症患者における高尿酸血症の頻度は約20%であり,正脂血症男性の頻度(8.5%)と比較して多い.また痛風や高尿酸血症患者における脂質代謝異常症の頻度は,40?70%にも達する.痛風患者は,超低比重リポタンパク(VLDL)の増加によるⅣ型脂質代謝異常症が最も多く,高TG血症が特徴となっている1),2) .VLDLの増加に伴って,当然アポEタンパク,C -Ⅱ,C -Ⅲタンパクも増加している.一般に高TG血症は飲酒やインスリン抵抗性をきたす肥満と関連があるといわれており,痛風患者におけるVLDL増加の環境要因としても飲酒と肥満が強く示唆されている.飲酒は肝臓でのエタノール代謝に伴う脂肪酸合成*1兵庫医科大学内科学内分泌・代謝科助教*2兵庫医科大学内科学内分泌・代謝科教授Current Therapy 2011 Vol.29 No.7 17579