カレントテラピー 29-7 サンプル

カレントテラピー 29-7 サンプル page 23/28

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痛風結節の治療藤田保健衛生大学七栗サナトリウム内科教授松本美富士最近,わが国では痛風・高尿酸血症はありふれた生活習慣病であるとの認識が広がり,古典的な痛風である痛風結節をみる機会がきわめて少なくなってき....

痛風結節の治療藤田保健衛生大学七栗サナトリウム内科教授松本美富士最近,わが国では痛風・高尿酸血症はありふれた生活習慣病であるとの認識が広がり,古典的な痛風である痛風結節をみる機会がきわめて少なくなってきている.これは,痛風・高尿酸血症が早期から診断され,生活習慣是正の指導とともに尿酸降下薬による早期からの積極的治療が行われるためである.一般的に痛風・高尿酸血症の期間が長く,また高度であるほど,すなわち体内の尿酸プールが著しく大きくなるほど痛風結節ができやすいとされているが,まれには痛風の発症早期から痛風性関節炎がみられず,痛風結節が唯一の臨床症状であることがある.そのような場合には痛風腎が無症候性に存在していることがほとんどであり,注意を要する.高尿酸血症に対する強力かつ安全な薬物療法が十分にできなかった時代は,長期経過例での痛風結節も多発,巨大であることが多かったため,痛風結節に対して外科的切除術が積極的に実施されていたが,現在では尿酸降下薬による薬物療法が主体であり,以下の場合に外科的切除が考慮される.すなわち,その適応は,1皮下結節では結節部に感染を伴うことがあり,感染が持続,再発性にみられる場合,2上記にさらに疼痛が強い場合,3しびれ,麻痺などの神経圧迫症状を伴う場合,4指趾伸筋腱(屈筋腱)などが円滑に動かないとか運動制限などの痛風性腱滑膜炎となっている場合,5手指などに存在する痛風結節は大きいほど手指機能に影響を与え,業務上あるいは日常生活動作能に大きな影響を及ぼす場合,6腎機能障害や副作用のために高尿酸血症に対する十分な薬物療法ができず,痛風結節の縮小,消退が期待できない場合,7痛風結節は基本的には身体のどこの部位にも発生する可能性があるが,結節の存在が美容的に問題がある場合などである.痛風結節の薬物療法は高尿酸血症に対するものであり,各種尿酸降下薬が用いられる.体内尿酸プールの縮小により,痛風結節部位からの尿酸塩の溶出をはかり,痛風結節の縮小,消退につなげるものである.したがって外科的切除術のように短期間での痛風結節の消退にはつながらないし,大量の尿酸降下薬による急速な尿酸プールの縮小は痛風性関節炎の再発・遷延につながる.そのため,尿酸降下薬は高尿酸血症の病型にしたがって選択され,半年から1年をかけて治療目標値である血清尿酸値6.0mg/dL以下を目指し,これを維持することにより痛風結節は縮小し,やがて消退に至る.腎機能障害がある場合,重篤な副作用との関連で必要量のアロプリノールが使用できなかったが,アロプリノールと同様の新しいキサンチンオキシダーゼ阻害剤(xanthine oxidase inhibitor:XOI)であるフェブキソスタットが本邦でも使用できるようになり,以前より薬物療法がより確実となった.腎機能が慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)のステージ3未満であり,痛風結節が多発性,巨大な場合はXOIと尿酸排泄促進薬の併用療法を行うこともある.また,CKDステージ5で血液透析導入・維持の適応がある場合は維持血液透析療法の結果,強力な持続的尿酸排出により尿酸結節の縮小,消退がしばしばみられる.82644