カレントテラピー 29-7 サンプル

カレントテラピー 29-7 サンプル page 17/28

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特集高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から高尿酸血症に関連する病態と臓器障害心血管障害*荻野和秀1*2・久留一郎abstract高尿酸血症が心血管障害の予測因子であることが報告されている.特に高血圧に合併....

特集高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から高尿酸血症に関連する病態と臓器障害心血管障害*荻野和秀1*2・久留一郎abstract高尿酸血症が心血管障害の予測因子であることが報告されている.特に高血圧に合併する高尿酸血症は,心血管障害の明らかな予測因子となっている.また,虚血性心疾患や心不全においてもプリン・尿酸代謝が深くかかわっており,病態に影響を及ぼしている可能性がある.しかしながら,高尿酸血症が心血管障害の危険因子かどうかはいまだはっきりしていない.最近,尿酸トランスポーターであるurate transporter 1(URAT1)が血管にも存在することが明らかになり,尿酸の心血管に対する作用がさらに注目されている.本稿では,心血管障害における高尿酸血症の位置づけ,特に心不全と高尿酸血症の関連について最近の知見を中心に述べる.Ⅰ心血管障害の予測因子・危険因子としての高尿酸血症高尿酸血症が心血管障害の危険因子であるのか,ほかの危険因子に影響を受けている単なるマーカーであるのかどうかは,古くから議論されてきた.日本人のデータでも関連性があるという報告と直接的な関連性はないという報告があり,結論が出ていない.性別では,男性に比し女性において高尿酸血症が心血管障害と関連が強いという報告が多い.一方,高血圧に合併する高尿酸血症については,関連性があるという報告が圧倒的に多く,現時点では高血圧に合併する高尿酸血症は心血管障害の予測因子と認識してよいと考えられる.さらにハイリスク高血圧患者を対象としたLIFE試験では,ロサルタンの効果の29%は尿酸低下で説明できると報告されている1).また,脂質代謝異常を対象としたGREACE試験では尿酸低下と心血管イベント減少が有意な相関を示している2).以上のことから,尿酸を下げる治療的意義の可能性はあると考えられるが,尿酸そのものに介入した大規模臨床試験が行われていないため,高尿酸血症が心血管障害の危険因子かどうかはいまだ結論が出ていない.一方,高血圧および糖尿病では血清尿酸値による心血管障害の発症リスクにJカーブ現象を認めるため3),低すぎる血清尿酸値に関しても注意が必要かもしれない.Ⅱ血管における高尿酸血症の意義尿酸排泄は近位尿細管に存在するurate transporter1(URAT1)をはじめとする尿酸トランスポーターによって制御されている4).最近,尿酸トランスポーターが血管にも存在し,このトランスポーターを介し,尿酸が血管平滑筋に取り込まれ,monocyte chemoattractant protein -1(MCP -1)の発現を刺激したり,レニン-アンジオテンシン(RA)系を刺激したりして,酸化ストレスや細胞増殖を引き起こすことが報告された5).われわれも,アロプリノール治療においてラットの血管平滑筋の*1鳥取大学医学部附属病院卒後臨床研修センター准教授*2鳥取大学大学院医学系研究科機能再生医科学教授Current Therapy 2011 Vol.29 No.7 27589