カレントテラピー 29-7 サンプル

カレントテラピー 29-7 サンプル page 15/28

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特集●高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から(a)10*n=6(b)1n=32n.s.8****UA (mg/dL)6420(-) F BΔHOMA-R0-1-2-4-3-2 -1ΔUA012図3フィブラート系薬剤の尿酸低下作用とインスリン抵抗性(a)フィブラート系薬剤....

特集●高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から(a)10*n=6(b)1n=32n.s.8****UA (mg/dL)6420(-) F BΔHOMA-R0-1-2-4-3-2 -1ΔUA012図3フィブラート系薬剤の尿酸低下作用とインスリン抵抗性(a)フィブラート系薬剤投与前後の血清尿酸値レベル(-):投与前,F:フェノフィブラート,B:ベザフィブレート,*:p<0.05,***:p<0.005(b)フィブラート系薬剤投与前後の血清尿酸値とHOMA-R変化量最高位に属する高尿酸血症の群では総死亡でハザード比が2.8と高値を呈し,修正相対危険率は心血管系死亡で2.2,心筋梗塞で1.7であった.このことは,高尿酸血症とインスリン抵抗性,インスリン抵抗性と動脈硬化がそれぞれ緊密に関連していることを考えれば容易に理解できる.しかし,高尿酸血症が直接的に動脈硬化をもたらすのか否かは,いまだ明らかになっていない.血清尿酸値はインスリン抵抗性に伴って上昇する一方で,血管内皮細胞障害に伴う低グレードの炎症の際に上昇することが報告されている.慢性心不全患者では高尿酸血症を呈し,尿酸上昇の程度はインスリン抵抗性指標よりもIL -6やsTNFR -1などの炎症マーカーとよく相関する14) .酸化ストレスは尿酸合成時のキサンチンオキシダーゼ活性化により増加し,アロプリノール投与によるキサンチンオキシダーゼ抑制で軽減する.そのほか尿酸塩そのものが好中球の活性化や血小板凝集機序から動脈硬化を促進するなど,インスリン抵抗性を介さない機序も多く示唆されている.一方で,尿酸塩はフリーラジカルのスカベンジャーとして抗酸化的な役割も実験で確認されており,血中尿酸の存在意義とその功罪はいまだ定まっていない.Ⅴ高尿酸血症とメタボリックシンドローム尿酸値はインスリン抵抗性指標と関連するとする報告が多くなされる一方で,必ずしもインスリン抵抗性指標とは相関しないとの報告もまた多数認められる.その場合,肥満指数やトリグリセリド(TG)値など他のメタボリック指標との関連性を強調する報告が多い15) .そのため,高尿酸血症を単にインスリン抵抗性との関係のみから把握するのでなく,より広い概念としてのメタボリックシンドロームの一員として位置づけなおす考え方がある.筆者の糖尿病外来に通院中の高尿酸血症例では約60%に何らかの脂質代謝異常(高コレステロール血症,高TG血症または低HDL-C血症)を認めており,2型糖尿病と高TG血症を合併した高尿酸血症の症例をフィブラート系薬剤により加療すると,高TG血症だけでなく,高尿酸血症が改善することを確認している.しかし,薬剤によるTG値と血清尿酸値,インスリン抵抗性の改善度の間には相関が示されず,同薬剤による高尿酸血症の是正効果には種々の要因が複合的に影響することが考えられた(図3).また,肥満と高尿酸血症も強い関連性があり,インスリン抵抗性を介して高尿酸血症をきたす経路が考えられているが,各種アディポサイトカインによる直接経路も示唆されるようになっている.例えば,Current Therapy 2011 Vol.29 No.7 25587