カレントテラピー 29-7 サンプル page 14/28
このページは カレントテラピー 29-7 サンプル の電子ブックに掲載されている14ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
NADPNADPHトリグリセリドアシルCoA脂肪合成アセチルCoAグリセロール3リン酸グリセロアルデヒド3リン酸グルコース6リン酸NADPリボース5リン酸NADPH五炭糖リン酸経路PRPPプリンde novo合成図2五炭糖リン酸経路(pentose....
NADPNADPHトリグリセリドアシルCoA脂肪合成アセチルCoAグリセロール3リン酸グリセロアルデヒド3リン酸グルコース6リン酸NADPリボース5リン酸NADPH五炭糖リン酸経路PRPPプリンde novo合成図2五炭糖リン酸経路(pentosecycle)と脂肪合成(代謝マップをもとに作図)Ⅲ高尿酸血症からインスリン抵抗性に至る経路一方で,高尿酸血症がインスリン抵抗性に先行するとの報告も認められる.非糖尿病者を1987年から1998年までの間経過観察し,高インスリン血症をきたした症例の背景因子を調査した報告では,体重増加以外に高尿酸血症,喫煙および低HDLコレステロール(HDL -C)血症が高インスリン血症の要因となることが示されている7) .そのほか,フルクトースの過剰摂取によって高尿酸血症やインスリン抵抗性,耐糖能異常をきたしやすくなることが知られている.フルクトースの過剰摂取が血清尿酸値を上昇させる機序として,フルクトキナーゼによる代謝に際してアデノシン三リン酸(ATP)が消費され,産生されたアデノシン二リン酸(ADP)はアデノシン一リン酸(AMP),イノシン一リン酸(IMP)を経て,尿酸産生を亢進させると考えられる.さらにこうした高尿酸血症自体が血管内皮細胞障害,特に血管内皮のNO産生を障害して,高血圧や末梢でのインスリン抵抗性を招来するのではないかという仮説が提唱されている8) .ラットにウリカーゼ阻害剤であるoxonateを投与して血清尿酸値を上昇させると血圧が上昇し,アロプリノールやベンズブロマロンを用いて尿酸値を再度低下させると,同ラットの血圧上昇が解除できたことが報告されている9) .この間の血圧と血清尿酸値には正相関が認められ,組織学的にも腎へのコラーゲン沈着やマクロファージ浸潤,レニンの発現増強やmacula densaのneuronalNO発現低下が示されている.さらに,同ラットにおける腎障害や高血圧がACE阻害薬や,NO産生の基質となるL-アルギニンの投与によって軽減されることから,何らかの機序を通じて高尿酸血症自体がRASを活性化するほか,NO産生を低下させてインスリン抵抗性を助長するのではないかと考えられた.最近の報告でも,こうした血清尿酸値に着目した前向き研究がなされており,将来の2型糖尿病発症の予測因子となり得ることが示唆されている10) .そのほか,原発性痛風の患者でメタボリックシンドローム,あるいはそのメタボ因子の異常数が増加することなど11) ,血清尿酸値の上昇がその後のインスリン抵抗性や糖代謝異常の発現と関連する所見がますます多く集積されつつある.さらには,高尿酸血症症例において,膵β細胞機能の障害を示唆する報告もなされており12) ,詳細な機序はいまだ明らかでないが,インスリン抵抗性以外の経路でも耐糖能異常をきたす可能性が示されている.Ⅳ高尿酸血症と血管内皮細胞障害および動脈硬化症の関係血清尿酸値と心血管イベントの関連性について,血清尿酸値と総死亡,心血管系死亡に関する前向きの検討がなされ13) ,血清尿酸値で分類した4分位の24586