カレントテラピー 29-7 サンプル

カレントテラピー 29-7 サンプル page 12/28

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特集高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から高尿酸血症に関連する病態と臓器障害インスリン抵抗性,耐糖能異常*浜口朋也abstract高尿酸血症は生活習慣病と総称される種々の疾患や病態と密接に関連しており,イ....

特集高尿酸血症のマネジメント―臓器障害の観点から高尿酸血症に関連する病態と臓器障害インスリン抵抗性,耐糖能異常*浜口朋也abstract高尿酸血症は生活習慣病と総称される種々の疾患や病態と密接に関連しており,インスリン抵抗性,耐糖能異常(糖尿病)も例外ではない.インスリン抵抗性と高尿酸血症は,いわば悪循環(viciouscycle)を形成することで相互の病態を増幅し,さらには両者が直接,または間接的に血管障害から動脈硬化症を促進していく機序が想定されている.それぞれの過程における詳細なメカニズムはいまだ明らかにされていないが,近年,基礎的あるいは疫学的なエビデンスが集積されて,従来とは異なる視点からの高尿酸血症の臨床的意義が注目されている.新たな治療戦略の構築とも関連して,高尿酸血症という病態を,肥満,糖・脂質代謝異常,高血圧,腎障害から動脈硬化症に至る一連の疾患群のなかへ位置づけなおす必要がある.Ⅰはじめに高尿酸血症とその治療は,以前には痛風関節炎の予防,そして痛風腎や尿路結石などの腎・尿路系管理の観点から論じられてきた.さらに,近年になって尿酸代謝が糖・脂質代謝と密接に関係しており,高尿酸血症はメタボリックシンドロームから動脈硬化症に至る心血管イベントの発症・進展とも強く関連することが知られるようになってくると,高尿酸血症は動脈硬化症のリスクマーカーとして新たな臨床的意義が注目されるようになってきた.なかでもメタボリックシンドロームや高尿酸血症に関連する病態のひとつとして,インスリン抵抗性という概念がクローズアップされた.インスリン抵抗性の病態においては,一見矛盾するようだが,インスリン作用不足としての糖・脂質代謝異常だけではなく,インスリン作用過剰としての血管内皮細胞の傷害や血管平滑筋細胞の増殖といった二面性を有している.それらは互いに動脈硬化を促進しており,高尿酸血症はこれら2つの病態にそれぞれ関与することが示唆されている.本稿ではこのインスリン抵抗性から耐糖能異常,そして動脈硬化に至る経路と高尿酸血症のかかわりについて種々の論点を紹介し,それらを整理してみたい.Ⅱインスリン抵抗性から高尿酸血症に至る経路高尿酸血症の患者において,肥満,高血圧,脂質異常症,耐糖能異常(糖尿病)の合併頻度が高いことは以前から観察されていた.それら生活習慣病を個別に理解するのではなく,共通の病態から把握しようとする試みが続けられており,その病態のひとつとしてインスリン抵抗性の関与が広く知られるようになっている.そして,インスリン抵抗性と高尿酸血症の成立にも何らかの関連性を示唆する報告がなされるようになった.一般的に,インスリン抵抗性の増強は耐糖能異常から糖尿病の発症・進展に深*兵庫医科大学先進糖尿病治療学特任准教授22584