カレントテラピー 29-7 サンプル

カレントテラピー 29-7 サンプル page 10/28

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であるジブチルヒドロキシトルエン(butylatedhydroxytoluene:BHT)を結合させた構造をしているため,抗酸化作用を有している.そのため酸化LDLの生成を防ぎ,マクロファージの泡沫化を防ぐ.経皮的冠動脈形成術(percutane....

であるジブチルヒドロキシトルエン(butylatedhydroxytoluene:BHT)を結合させた構造をしているため,抗酸化作用を有している.そのため酸化LDLの生成を防ぎ,マクロファージの泡沫化を防ぐ.経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminalcoronary angioplasty:PTCA)後の再狭窄を有意に抑制する報告があるものの,大規模臨床試験は行われておらず,高LDL -C血症治療における第一選択薬とはなっていない.副作用としては胃腸障害,肝機能障害,発疹などが認められる.4)フィブラート系薬剤フィブラート系薬剤は,TGを最も強力に低下させる薬剤である.これらの薬剤はperoxisome proliferatoractivated receptorα(PPARα)に結合し,これを活性化する.PPARαの活性化はアポC-Ⅲの発現を抑制し,アポC-Ⅲタンパクを減少させる.その一方,LPL遺伝子やβ酸化系遺伝子の発現を促進させ,LPL活性の増加や脂肪酸のβ酸化促進を誘導する.その結果,血中TGが低下する.さらにPPARαの活性化はアポA-ⅠとアポA-Ⅱの産生を増加させ,血中HDLを増加させる.フィブラート系薬剤のなかでフェノフィブラートは尿酸排泄促進作用を有し,血清尿酸値を低下させるので,排泄低下型の高尿酸血症患者で高TG血症を合併した場合の治療にはこの薬剤が最適である.副作用として肝障害,胃腸障害,胆石や横紋筋融解症などが報告されている.5)ニコチン酸製剤ニコチン酸製剤はホルモン感受性リパーゼの活性化を抑制することにより,末梢脂肪細胞での脂肪分解を抑制し,遊離脂肪酸の放出を低下し,VLDL合成を抑制する.またLPL活性を増加させ,末梢組織から遊離脂肪酸の動員を抑え,肝臓でのTGの合成を抑制することにより血中TGを低下させる.本剤はLP(a)の低下作用も有している.本剤による虚血性心疾患予防効果を証明した大規模臨床試験がある10) .副作用として末梢血管拡張による紅潮,痒みがある.6)エイコサペンタエン酸製剤エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)製剤はTG合成の抑制による血中TG低下が主な作用であるが,血中コレステロール低下作用,血中LP(a)低下作用や抗血栓作用を有している.わが国で行われたJELISでは,冠動脈イベントの一次予防効果を認めた11) .副作用として胃腸障害,出血傾向がみられる.7)エゼチミブエゼチミブは小腸粘膜に存在するNiemann -PickC1-Like 1 protein(NPC1L1)を抑制することにより,小腸におけるコレステロール吸収を抑制し,肝臓でのLDL受容体数を増加させ,LDLの取り込みを亢進させることで,LDL -Cを低下させると考えられている.副作用として消化器症状が認められるが,いずれも軽度である.Ⅳ脂質代謝異常症治療の管理目標現在のところ日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン12)にそって,脂質代謝異常症の治療をするのが望ましく,冠動脈疾患を有さず,主要危険因子を合併していない場合は,LDL - C値160mg/dL未満,血清TG値150mg/dL未満,血清HDL -C値40mg/dL以上となっている.冠動脈疾患の有無,主要危険因子の程度によりLDL -Cの管理目標値が異なってくるが,高尿酸血症はガイドラインでは主要冠危険因子に含まれていない.しかしながら高尿酸血症を呈する患者では,高血圧,糖尿病を合併する症例も多く,病態に応じLDL -Cの目標値を設定する必要がある.参考文献1)山本徹也:痛風に合併する高脂血症.日臨49:160 -165, 19912)山本徹也:高尿酸血症と高脂血症の合併―その実態と病態―.Med Pract 16:1125-1127, 19993)Tsutsumi Z, Yamamoto T, Moriwaki Y, et al: Decreasedactivities of lipoprotein lipase and hepatic triglyceride lipasein patients with gout. Metabolism 50:952-954, 20014)Moriwaki Y, Yamamoto T, Takahashi S, et al:ApolipoproteinE phenotypes in patients with gout:relation with hypertriglyceridaemia.Ann Rheum Dis 54:351 -354, 19955)Takahashi S, Yamamoto T, Moriwaki Y, et al:Increasedconcentrations of serum Lp(a)lipoprotein in patients withprimary gout. Ann Rheum Dis 54:90-93, 19956)Bostom AG, Cupples LA, Jenner JL, et al:Elevated plasmalipoprotein(a)and coronary heart disease in men aged 5520582