カレントテラピー 29-12 サンプル

カレントテラピー 29-12 サンプル page 21/42

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表1現在国内で使用される分子標的治療薬の一覧薬剤分類薬剤名分子標的特徴タンパク質リン酸化酵素阻害剤イマチニブダサチニブニロチニブゲフィチニブエルロチニブラパチニブスニチニブソラフェニブBCR・Abl,DDR1,D....

表1現在国内で使用される分子標的治療薬の一覧薬剤分類薬剤名分子標的特徴タンパク質リン酸化酵素阻害剤イマチニブダサチニブニロチニブゲフィチニブエルロチニブラパチニブスニチニブソラフェニブBCR・Abl,DDR1,DDR2,cKit,PDGFRBCR・Abl,Srcリン酸化酵素群,cKit,Eph受容体などBCR・Abl,DDR1,DDR2,PDGFR,cKIT,CSF1R上皮成長因子受容体(EGFR)EGFRHer2,EGFRVEGFR,PDGFR,cKit,RET,CSF1R,FLT3,などRaf,cKit,VEGFR,PDGFR,などプロテアーゼ阻害剤ボルテゾミブ26Sプロテアソーム選択的エストロゲン受容体モジュレータータモキシフェントレミフェンエストロゲン受容体(ER)ERアロマターゼ阻害剤アナストロゾールアロマターゼアンドロゲン受容体阻害剤エキセメスタンレトロゾールビカルタミドフルタミドアロマターゼアロマターゼアンドロゲン受容体(AR)ARこの薬の登場で慢性骨髄性白血病(CML)の治療効果は著しく改善された.フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)急性リンパ性白血病,KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍,特発性好酸球増多症にも効果を認める.現在までにさまざまなイマチニブ耐性のBCR・Abl変異体が知られている.イマチニブ抵抗性のCMLや,Ph+急性リンパ性白血病に用いられる.BCR・Abl変異体を強力に抑制するがタンパク質リン酸化酵素間の選択性が低い.選択性の低さで多くのイマチニブ耐性のBCR・Abl変異体に対応している.ダサチニブ耐性のBCR・Abl変異体も存在する.イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病や,Ph+急性リンパ性白血病に用いられる.Bcr・Ablに対する選択性は高い.親和性を上げることで多くのイマチニブ耐性に対応している.肺非小細胞癌(NSCLC)患者を対象に行われた臨床試験では対照群に対する優位さを得ることはできなかったが,アジア人,非喫煙者に限って効果を認めた.さらに恒常的活性化型EGFRの遺伝子変異をもつNSCLCに有効であるとする報告がある.NSCLC患者を対象に行われた臨床治験で小細胞癌(SCLC)患者全般にわたって対照群と比べ優位差を認めた.ゲフィチニブが薬剤の最大耐量の1/3量を投与されるのに対してエルロチニブは最大耐用量を投与されることが要因と考えられている.Her2陽性の乳癌に有効.また従来の化学療法に抵抗性となったHer2陽性患者に対してDNA合成阻害剤カペシタビンとの併用療法が有効とする報告がある.腎臓癌とイマチニブ耐性の消化管間質腫瘍に用いられる.腎癌に対する作用は主にVEGFRとPDGFRの阻害による血管造成の抑制,消化管間質腫瘍に対してはcKitの阻害によるものと考えられている.腎臓癌と肝臓癌に使用される.VEGFRやPDGFRなどの多くのタンパク質リン酸化酵素を阻害するが,細胞増殖に関与するMAPKシグナル伝達の上流にあるRafリン酸化酵素を阻害する点に特徴がある.腫瘍血管増殖ならびに細胞増殖を抑制することが期待される.多発性骨髄腫に対して用いられる.ユビキチン化されたタンパク質を処理するプロテアソームの活性を阻害する.骨髄腫細胞は正常細胞に比べてプロテアソーム阻害剤に対する感受性が高いと考えられている.ERと拮抗することでER陽性の乳癌の治療に用いられる.また米国では乳癌発症高リスクの患者の予防薬としても認可されている.大変興味あることに乳癌以外の組織,骨や子宮内膜ではエストロゲンの模倣剤として作用する.ERと拮抗することで作用する.閉経後のER+の乳癌の治療に用いられる.タモキシフェン同様乳癌以外の組織でエストロゲンの模倣剤として作用する.エストロゲン合成に関与するアロマターゼの阻害剤.閉経後のER+の乳癌の治療に用いられる.エストロゲン産生の阻害による骨組織に対する副作用が認められる.アロマテースの基質であるアンドロステロンの誘導体.アロマターゼと非可逆的に結合することでその活性を抑制する.閉経後のER+の乳癌の治療に用いられる.エストロゲン産生の阻害による骨組織に対する副作用が認められる.エストロゲン合成に関与するアロマターゼの阻害剤.閉経後のER+の乳癌の治療に用いられる.エストロゲン産生の阻害による骨組織に対する副作用が認められる.閉経前の乳癌の治療に効果は低い.ARとの結合を阻害し,前立腺癌治療に用いられる.ARの分解にも関与する.アンドロゲンによるLHホルモンを介した負のフィードバック制御の消失によるテストステロンやエストロゲンの過剰産生を抑制する目的でLHRHホルモン模倣剤との併用も行われる.ARとの結合を阻害し,前立腺癌治療に用いられる.ビカルタミドに比較して副作用が少ない.アンドロゲンによるLHホルモンを介した負のフィードバック制御の消失によるテストステロンやエストロゲンの過剰産生を抑制する目的でLHRHホルモン模倣剤との併用も行われる.ここでは日本における癌治療で使用されている薬剤のうち,開発の段階から分子標的を想定した低分子薬を集めた.ホルモン受容体を活性化するホルモンやホルモン誘導体はこの表から除外している.化学構造については,Pubchem compound(http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照.681136