カレントテラピー 29-12 サンプル page 18/42
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概要:
特集●分子腫瘍マーカー―治療標的と経過指標としてCD4陽性T細胞の分離Day 0~1がん抗原特異的ヘルパーT細胞の誘導(約3週間)Day 1 Day 7 Day 13IFN-γ処理付着細胞+抗原ペプチドOK-432処理樹状細胞+抗原ペプチド....
特集●分子腫瘍マーカー―治療標的と経過指標としてCD4陽性T細胞の分離Day 0~1がん抗原特異的ヘルパーT細胞の誘導(約3週間)Day 1 Day 7 Day 13IFN-γ処理付着細胞+抗原ペプチドOK-432処理樹状細胞+抗原ペプチド抗原ペプチド処理DCがん抗原特異的Th1細胞Day 18~21末梢血採取(アフェレーシス)Day 0投与特異性評価IFN-γlevels2,5002,0001,5001,0005000ELISA法IFN-γ産生(-)(+)細胞内染色法ペプチド(―)ペプチド(+)抗原ペプチド投与量がん1)3×10 7 cells2)10×10 7 cells3)30×10 7 cellsIL- 45%以上を基準とするIFN-γ図4がん抗原特異的ヘルパーT細胞(Th1)療法〔参考文献13)より引用改変〕ティブ乳がん患者において,がんの消失が確認された14).ヒトT細胞はマウスT細胞とは異なり,MHCクラスⅡ分子を発現している.したがって,がん特異的Th1細胞を試験管内で誘導して,H/K -HELPと混合し,患者に投与した部位で,Th1細胞のMHCクラスⅡに結合したH/K -HELPによってTh1細胞が刺激され,IL -2やIFN -γを産生する.この局所反応でがん患者の生体内のDCが活性化され,H/K -HELPをプロセシング,提示し,がん特異的ヘルパーT細胞,キラーT細胞を活性化し,がん特異的抗体も誘導する.OK -432とモンタナイドをアジュバントとしたH/K -HELPワクチンの第Ⅰ相臨床試験の結果から考えれば,H/K -HELPとがん特異的なTh1細胞をセルアジュバントとして用いたTh1細胞治療の有効性は十分期待できると思われる.Th1細胞治療の世界初の臨床研究は,近々,北海道大学病院で開始される予定である.Ⅲ今後の展望1991年にがん抗原が発見・同定されて以来,がん特異的な免疫をがん患者の生体内に誘導することが可能であると科学的に証明された.がんを治療し,再発を防止するためにはがんに対する特異的免疫応答を惹起し,かつ特異的免疫記憶を成立させなければならない.したがって,がんに苦しむ患者は,自分が高額の医療費を払って受ける治療が最終的にがんに対する免疫記憶を効率よく誘導できるか否かを確認すべきであろう.また,高額な医療費でがん治療を行う医師は,患者に自分が行うがん治療が,がん特異的免疫を誘導できる科学的根拠を患者に示すことができるか否かを考える必要性がある.少なくとも数十年前に世界的に否定されたがん治療法を行い,患者から高額の医療費を請求するのは止めるべきであると思う.患者,医師,研究者が一体となっCurrent Therapy 2011 Vol.29 No.12 651133