カレントテラピー 29-12 サンプル

カレントテラピー 29-12 サンプル page 16/42

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特集●分子腫瘍マーカー―治療標的と経過指標として採血投与がん遠心分離活性化リンパ球回収リンパ球回収患者抗CD3抗体,IL-2,ゾレドロン酸など自己がん細胞/がん組織ライセートリンパ球(T細胞,NK細胞など)の増....

特集●分子腫瘍マーカー―治療標的と経過指標として採血投与がん遠心分離活性化リンパ球回収リンパ球回収患者抗CD3抗体,IL-2,ゾレドロン酸など自己がん細胞/がん組織ライセートリンパ球(T細胞,NK細胞など)の増殖/活性化細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導(がん特異的CTL療法の場合)図2活性化リンパ球移入療法療法は上記で述べた2つの治療のような準備や条件の必要はなく,がんの場所がDCを直接注入できるような所に存在するかどうかが治療実施の条件となる.DCは,培養中ではほとんど増殖しない.そのため細胞の調製・加工にはアフェレーシスなどによる大量のリンパ球の採取が必要となる.回収した単球や未熟なDCを体外においてサイトカインおよび免疫アジュバントを用いて分化誘導し,抗原提示能力が非常に強い成熟細胞を作出した後,さまざまながん細胞やがん抗原タンパク質,あるいはぺプチドを共存させ,大量のがん抗原をDC内にパルスする.このがん抗原パルスDCを皮下注射し,体内でがん抗原特異的なヘルパーT細胞やキラーT細胞の活性化を目指す(図3).これまでベルギーのテリー・ブーン博士のグループは,メラノーマのがん抗原ペプチドを載せたDCを5),スイスのF・ネッスル博士らはがん細胞溶解液を載せたDCを6),皮膚がん患者に投与し有望な治療成績を報告している.3がん特異的Th1細胞移入療法免疫バランスは主に2種類のヘルパーT細胞(Th1/Th2細胞)の相互調節によって制御されている.がんの免疫応答は,Th1型免疫を活性化することによってがん特異的キラーT細胞(Tc1またはCTL)を含む細胞性免疫が活性化されることが重要である.これはがん特異的キラーT細胞を増殖・維持するためには,IL -2を含むサイトカインなどを豊富に産生するTh1細胞からのヘルプが必要であることを示唆している.さらにがん細胞がクラスⅡ分子を発現している場合には,1がん特異的Th1の移入によってがんを拒絶できること7),2がんがクラスⅡを発現していない場合でも,がん特異的Th1細胞とがん抗原タンパク質あるいはクラスⅠペプチドやクラスⅡペプチドを組み合わせた治療法によってがんの増殖制御が可能であること8),3Th1型免疫を強力に活性化でき,CpG -ODNや溶連菌OK432をアジュバントとし,がん抗原タンパク質やMHCクラスⅠおよびクラスⅡペプチドとともにリポソームに封入した混合物を所属リンパ節近傍に接種することによって,治療中に十分量のがん特異的キラーT細胞が担がん生体内で誘導され大きながんを拒絶できること9),10),を証明しており,Th1細胞移入療法が次世代型の新しいがん免疫治療になることが期待されている.このTh1細胞治療の特筆すべき点は,がんや所属リンパ節においてがんの増大とともに誘導されるTregの増加,蓄積がIFN -γ依存的に抑制できるCurrent Therapy 2011 Vol.29 No.12 631131