カレントテラピー 29-11サンプル page 17/32
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A)抗原タンパクB)短鎖エピトープペプチドClassⅠClassⅡC)長鎖ペプチド(long peptide)D)長鎖複合ペプチド(long overlapping peptide:OLP)図2抗原タンパク,短鎖エピトープペプチド,長鎖ペプチド,および長....
A)抗原タンパクB)短鎖エピトープペプチドClassⅠClassⅡC)長鎖ペプチド(long peptide)D)長鎖複合ペプチド(long overlapping peptide:OLP)図2抗原タンパク,短鎖エピトープペプチド,長鎖ペプチド,および長鎖複合ペプチドの模式図〔参考文献18)より引用改変〕にて,特定のHLA分子に提示されるペプチドとなるか検索し,腫瘍特異的抗原が同定された13).2)投与剤形による分類臨床応用においては,投与する具体的な抗原の内容,剤形,アジュバントを用いるかが重要な問題である.抗原として用いるものとしては以下の通りである.?腫瘍細胞を用いたワクチン患者本人または同種の腫瘍細胞を抗原として用いるものである.患者本人の腫瘍細胞からつくられたワクチンでは,腫瘍上の多数の特異抗原に対する多種類のCTLが産生される利点があり,腫瘍細胞はCTLの攻撃から逃れにくいと期待される.しかし患者個々からワクチンを作製するため手間とコストがかかる.代表的ながん抗原を発現している同種腫瘍細胞からワクチンを作製すれば,多数の患者に腫瘍特異的なCTLが同様に産生されることが期待される14).Belagenpumatucel -L(Lucanix R)はtransforminggrowth factor beta(TGF -β)アンチセンス鎖を遺伝子導入した4種類の非小細胞肺癌細胞株の混合物からなるワクチンであり,投与群の生存率が有意に良好であった15).?全タンパクワクチン特異的な腫瘍表面抗原タンパクをアジュバントとともに投与する.タンパクはDC,マクロファージ(Mφ)細胞内に取り込まれてからペプチドに分解され,細胞表面にMHC classⅠまたはⅡに関連して提示され,特異的Th,CTLが活性化・増殖する.タンパク全長を用いるがんワクチンは抗原性に優れるが,組み換えタンパクの作成には非常にコストがかかることなどが難点である.?ペプチドワクチンペプチドを抗原として用いれば,化学合成・精製が比較的容易であり安価に作製できる.また化学的修飾も比較的容易に行える.腫瘍抗原アミノ酸配列でMHC classⅠ抗原に結合し,CTLに認識される短鎖エピトープペプチド(8-10アミノ酸鎖)をワクチンとして用いる.現在臨床研究で最も多く用いられている.?長鎖ペプチドワクチンエピトープペプチドは,抗原提示細胞やその他の細胞の外から直接HLA classⅠ分子に結合する点が最大の利点であり同時に問題点である.costimulatorfactorを欠く抗原提示細胞以外の細胞(T細胞やB細胞)による抗原提示では,ThやCTLが活性化されずむしろanergyに陥る可能性がある16).このような弊害を改良したのが近年開発された長鎖ペプチドである.短鎖エピトープペプチドよりもさらに長い20-45アミノ酸鎖を用いている17).701042