カレントテラピー 35-6 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.6 21トピックス:ニューロリハビリテーション各論523比較して,電気刺激に合わせて随意収縮を行った場合に皮質運動野の興奮性が有意に増加することを示している9).よって電気刺激を行う場合でも,電気刺激を他動的に与えるだけでなく随意運動と同時に入力することが運動野の興奮性の増大をより引き起こすと考えられる.さらに刺激自体も随意運動によってコントロールできれば,その効果はさらに増強することが考えられる.村岡ら10)は,EMG-controlled NMESである随意運動介助型電気刺激装置を開発した.標的筋の随意筋電量に比例した電気刺激が可能であり,随意収縮の強弱のコントロールや,運動の中止,収縮後の脱力の学習が可能である.また,本刺激装置は一度条件設定を行えば,本体に記憶させることが可能で,小型で携行可能である.Fujiwaraらは随意運動介助型電気刺激装置と手関節固定装具を日中8時間着用して日常生活における麻痺側上肢の使用を促すhybrid assistive neuromusculardynamic stimulation(HANDS)療法を開発した(図1)11).筋電図を記録すると同時に電気刺激を行う刺激兼導出電極は麻痺側総指伸筋(extensor digitorum communis:EDC)上に置き,EDC随意収縮時には指の伸展運動を補助するように刺激を行う.装着中は刺激装置をアームバンドに収納し,日中施行中は携帯させる.介助刺激なしには,指の伸展が不十分な例においても,刺激により,随意的な指の伸展運動が可能となり,麻痺肢によるgrip & releaseが可能となり,日常での使用頻度を増加させることが可能である.慢性期の重度~中等度片麻痺患者において,3週間のHANDS therapyは有意に手指運動機能の改善を認め,日常生活での上肢の実用性の改善を認めた.また描円課題における筆圧の改善など,巧緻性の客観的評価法においても改善を認めた.3週間の治療後の長期的な効果の持続もfollow up studyにて確認されている.さらに2011年にはShindoらがrandomized controltrial(RCT)を亜急性期の患者で行い,Fugl-Meyer上肢運動項目の改善は装具のみを使用した対照群と比較し有意な改善を認め,特に手指機能の顕著な改善が認められたと報告している12).また,その機序に関してもHANDS therapy前後におけるpaired pulse transcranial magnetic stimulation(TMS)によるshort intracortical inhibition(SICI)随意運動介助型電気刺激装置(MUROソリューション,パシフィックサプライ社製)・筋電量に比例した刺激・筋電をピックアップする電極から刺激麻痺手の総指伸筋の微弱な筋活動を感知しその筋活動に合わせて電気刺激を与え,指を伸ばす随意運動を介助する+Wrist-hand splint/ Long opponens/ Short opponens装具と随意運動介助型電気刺激装置(MUROソリューション)を1日8時間装着し3週間訓練Muscle activityStimulus intensity(Fujiwara et al. Neurorehabiland Neural Repair 23:125-132, 2009)図1 Hybrid assistive neuromuscular dynamic stimulation(HANDS)therapy