カレントテラピー 35-1 サンプル

カレントテラピー 35-1 サンプル page 6/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 35-1 サンプル の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 35-1 サンプル

Current Therapy 2017 Vol.35 No.1 99mated glemerular filtration rate:eGFR)が60mL/分/1.73m2,またはよりsevereな30mL/分/1.73m2に減少している割合はいずれも増加していたとの報告もある2).このように,糖尿病性腎症による末期腎不全が減少しているかどうか一定の見解は得られておらず,今後,本邦からの研究が待たれる.Ⅲ 腎症病期分布日本糖尿病学会,日本腎臓学会,日本透析医学会,日本病態栄養学会の4学会で構成される糖尿病性腎症合同委員会により,『糖尿病性腎症病期分類2014』として,2013年12月に改訂が行われた(表1).詳細は別稿で述べられているため,本稿では触れないこととする.図1に当センター3)およびわが国の多施設共同研究であるJDDM研究4)における腎症病期分布を示す.両研究ともに約30%に早期腎症を,10%強で顕性腎症期以降の腎症を有することがわかる.しかし,これは糖尿病専門施設からの報告であり,より重症な糖尿病患者を対象としている可能性があるため,一般的な実地医家におけるそれとは少し異なるかもしれない.Ⅳ 腎症進展率英国で行われた,新規に2型糖尿病と診断された患者を対象とした大規模研究であるUK ProspectiveDiabetes Study(UKPDS)では,年間あたりの糖尿病性腎症の進展率,すなわち,腎症病期の1段階の増悪は,いずれの病期においても2~3%程度であり(図2)5),われわれの施設を含む本邦からの報告でもおおよそこの程度の進展率が報告されている6),7).では,糖尿病患者が末期腎不全に至る割合はどの程度であろうか.スウェーデンからの新規発症1型糖尿病患者11,681人を対象としたコホート研究を紹介したい8).この研究は1977年から0~14歳で発症した1型糖尿病患者を追跡するthe Swedish Childhood DiabetesRegistryと,1983年から15~34歳で発症した1型糖病期尿アルブミン(mg/gCr)あるいは尿蛋白値(g/gCr)GFR(eGFR)(mL/分/1.73 m2)第1 期(腎症前期) 正常アルブミン尿(30未満) 30 以上第2 期(早期腎症期) 微量アルブミン尿(30~299) 30 以上第3 期(顕性腎症期)顕性アルブミン尿(300以上)あるいは持続性蛋白尿(0.5 以上)30 以上第4 期(腎不全期) 問わない30 未満第5 期(透析療法期) 透析療法中注1)糖尿病性腎症は必ずしも第1期から順次第5期まで進行するものではない.本分類は,厚労省研究班の成績に基づき予後(腎,心血管,総死亡)を勘案した分類である.注2)GFR 60 mL/分/1.73 m2 未満の症例はCKD に該当し,糖尿病性腎症以外の原因が存在し得るため,他の腎臓病との鑑別診断が必要である.注3)微量アルブミン尿を認めた症例では,糖尿病性腎症早期診断基準に従って鑑別診断を行ったうえで,早期腎症と診断する.注4)顕性アルブミン尿の症例では,GFR 60 mL/分/1.73 m2未満からGFR の低下に伴い腎イベント(eGFR の半減,透析導入)が増加するため,注意が必要である.注5)GFR 30 mL/分/1.73 m2未満の症例は,尿アルブミン値あるいは尿蛋白値にかかわらず,腎不全期に分類される.しかし,特に正常アルブミン尿・微量アルブミン尿の場合は,糖尿病性腎症以外の腎臓病との鑑別診断が必要である.表1糖尿病性腎症病期分類2014(2013年12 月 糖尿病性腎症合同委員会)