カレントテラピー 35-1 サンプル

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60 Current Therapy 2017 Vol.35 No.160Ⅰ はじめに糖尿病性腎症(以下,腎症)に対する治療は,末期腎不全への進展ならびに心血管疾患発症の抑制を目指して,血糖・血圧・脂質管理を中心とした包括的治療を行うことが推奨されている.この包括的治療のなかで食事療法は,治療の基本として重要であるが,腎症の病期に応じた食事療法を選択する必要がある.腎症の食事療法のポイントのひとつは,蛋白質制限(低蛋白質食)であるが,臨床的エビデンスが明らかではない,アドヒアランスの問題,あるいは蛋白質制限による栄養障害に対する危惧などの点から,腎症の進展阻止に対するその効果・意義については議論が多い.本稿では,腎症における病期に応じた蛋白質制限の意義とその課題について,われわれの基礎的研究の成果も交えて概説したい.Ⅱ 糖尿病性腎症病期に応じた蛋白質制限の意義とその課題腎症の食事療法のポイントは蛋白質制限であるが,その病期と腎機能を考慮に入れ,実施を検討する必要がある.以下に,わが国で現在推奨されている腎症病期に応じた蛋白質摂取量ならびに蛋白質制限量(表1)1),またその意義と課題について概説する.1 腎症前期~早期腎症期本病期では,血糖コントロールならびに適正な体重を維持するためにバランスのよいカロリー制限を中心とした食事療法(いわゆる糖尿病食事療法)を*1 金沢医科大学糖尿病・内分泌内科学准教授*2 金沢医科大学糖尿病・内分泌内科学教授糖尿病性腎症の現況と進展阻止対策─ 生活習慣の修正と薬物療法糖尿病性腎症治療における蛋白質制限の意義北田宗弘*1・古家大祐*2糖尿病性腎症(以下腎症)の治療は,末期腎不全への進展・心血管疾患発症の抑制を目指し,食事・運動療法,適切な薬剤による血糖・血圧・脂質を含む代謝異常に対する包括的治療が推奨されている.腎症に対する食事療法のポイントは蛋白質制限である.腎症前期~早期腎症期では過剰な蛋白質摂取を避けバランスのよいカロリー制限を,顕性腎症期からは0.8~1.0 g/標準体重(kg)/日の蛋白質制限を,GFR<45mL/分/1.73m2あるいは腎不全期から0.6~0.8 g/標準体重(kg)/日と更なる蛋白質制限を考慮する.蛋白質制限の腎保護効果についての臨床的エビデンスが十分とは言い難いため議論が多い現状にあるが,これまでの基礎・臨床研究の結果からアドヒアランスが維持できれば蛋白質制限は腎保護に対して一定の有効性が期待できる.したがって,蛋白質制限はすべての患者に対しての画一的な実施は不適切であるが,包括的治療における食事療法として,個々の年齢,栄養状態,腎機能低下速度,アドヒアランスなどを十分考慮したうえで検討・実施することが望ましい.