カレントテラピー 34-7 サンプル

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64 Current Therapy 2016 Vol.34 No.7682の成績においても,PNPLA3 variantはNASHの線維化進行例に有意に高い割合で認められた.Ⅴ NASH肝癌の感受性遺伝子PNPLA3 rs738409 variantは,NASH肝癌の感受性遺伝子であるとする報告が欧米からなされている.Liuらは100例の欧州のCaucasiansにおいてNASH肝癌と組織学的に診断されたNAFLD の比較検討を行い,GG genotypeはCC genotypeに比べ肝癌に対する5倍のリスクがあると報告している17).米国のCaucasiansにおいても,257例のNASH肝癌が494例の健常人を対照に検討され,GG genotypeはCC or CG genotypeに対してOdds比3.21のリスクがあると報告されている18).さらに,この検討においてGG genotypeのNASH肝癌はCC or CG genotypeに対して生命予後も不良であると報告されており,PNPLA3 rs738409 variantは発癌のみならず,癌の予後にも影響を及ぼす可能性があるが,これは今後明らかにされていくべき課題である.本邦からはB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV),C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV),非B非Cの肝癌を対象にした結果が報告され,PNPLA3 rs738409GG genotypeは肝発癌の危険因子であると報告されている19).しかし,この報告における非B 非C 肝癌は,アルコール性肝癌も含んでおり,NASH 肝癌での役割は明らかでない.Meta -analysisにおいて,肝硬変患者におけるPNPLA3 GG genotypeは,CGやCCに比べて有意(Odds比:1.40,95%信頼区間:1.12~1.75)に肝癌を合併する割合が高いと報告されている20).しかし,この解析ではHCV肝障害やアルコール性肝障害を対象に含んでおり,日本人のNASH肝癌におけるPNPLA3rs738409 variantの意義はいまだ確立されていない.また,Liuらは99例のNASH肝癌の検討において,TM6SF2 rs58542926 minor allele CCは単変量解析にて有意(Odds比:1.922, p=6.81×10-4)にNASH肝癌と関連していたが,年齢,性,BMI,糖尿病などの他の因子を入れて多変量解析を行うと有意な関連は見出せなかった(p=0.42)と報告している.Ⅵ われわれが新たに発見したNASH, NASH肝癌の感受性遺伝子上述したように,われわれはPNPLA 3 がRomeoらが最初に報告したようにNAFLDの感受性遺伝子であるのか,われわれが報告したようにtype 4のNASHのみの感受性遺伝子であるのか,またNASH発癌に関与している遺伝子がPNPLA 3 以外に存在するのか否かを明らかにするために,肝生検で診断した315例のNAFLDと新たにNASH肝癌58例を追加し,7,672人のコントロールを用いてGWASを施行した(type 3は104例に増加).現在論文作成中であり,残念ながらここでその詳細を記載することは差し控えさせていただくが,PNPLA3 rs738409はコントロールに比してtype 4とNASH肝癌できわめて高いOdds比を示したが,type 1~4とNAFLD/NASH,NASH肝癌とNAFLDの病態進展につれてOdds比が上昇し,PNPLA 3 は典型的なNASH と肝発癌の感受性遺伝子であることが明らかになった.すなわち,PNPLA 3 はNAFLDの発症・進展に深く関与し,肝発癌にも関与していることが明らかになった.さらにPNPLA3 以外に, GCKR, GATAD2A がNAFLD/NASHの発症に関与し,新たにNASH肝発癌に関与する遺伝子を同定できた.これらの遺伝子のSNP解析を組み合わせることにより,NAFLD/NASHの発症・進展のみならず,NASH肝発癌リスクをかなり正確に予測できることが判明した(詳細は後日報告).なお,われわれのGWAS ではTM 6 SF 2の存在する領域にはきわめて多数の遺伝子が存在しており,TM6SF2を同定することが困難であった.Ⅶ おわりにGWASを用いたSNPの解析から,NAFLD発症・進展の感受性遺伝子として,22番染色体近傍のPNPLA3のrs738409 variant(I148M)が明らかになった.また,PNPLA3 rs738409 variantは,日本人において