カレントテラピー 34-5 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.5 71放射線治療と他治療との併用481とする代わりに,最初から前後斜入4門照射で照射すれば正常組織への1回線量を低下させることができ,晩発性合併症の軽減効果が得られる可能性がある.また,頚部食道癌に対してはIMRTも選択肢となり,さらなる正常組織の低減が可能である(図1b).4 膵臓癌GEMを用いた同時化学放射線療法が行われる.線量は50~50.4Gy/1.8~2.0Gyが標準で,照射野は原発巣+転移リンパ節+所属リンパ節または原発巣+転移リンパ節とする.GEMを用いた膵臓癌の化学放射線療法では特に腸管障害が問題となる.計画標的体積(planning target volume:PTV)の大きさ(PTV>260cc vs. <260cc)とgrade 3の消化管障害は強く相関し,予後因子でもあることが報告されている9).したがって,腸管の線量を減らす必要があり,IMRTや定位照射,粒子線治療などの利用が今後期待される.5 子宮頸癌CDDPを用いた同時化学放射線療法が行われる.線量は50~50.4Gy/1.8~2.0Gyであり,本邦では腔内照射による直腸線量の増加を勘案して途中,中央遮蔽が用いられる.全骨盤,症例によっては傍子宮組織あるいは転移リンパ節に対して照射される.子宮頸癌の化学放射線療法の場合,放射線治療単独と同様に,骨髄抑制に注意が必要である.6 肛門管癌マイトマイシン(MMC)と5-FUを用いた同時化学放射線療法が行われる.線量は54~59 Gy/1.8~2.0Gyであり,鼠径部を含めた骨盤部照射が行われる.腸管線量を低減することが重要であり,IMRTも選択肢となり得る.Ⅳ 分子標的薬と放射線療法の併用分子標的薬はがん細胞の増殖や転移などに関するシグナル伝達経路,血管新生に関連する分子を遮断することなどによりがん治療を行う薬剤であり,細胞障害性の化学療法薬剤に比べ,腫瘍に対して特異的に作用する.図2に代表的な分子標的薬の遮断経脊髄線量低減ab耳下腺線量低減口腔・咽頭粘膜線量低減脊髄線量低減腫瘍により均一に照射口腔・咽頭粘膜線量低減図1 化学放射線療法でIMRTによる正常組織の線量低減a:頭頚部腫瘍に対するIMRT.脊髄,耳下腺,口腔・咽頭粘膜の線量低減が可能である.b:頚部食道癌に対するIMRT.脊髄,口腔・咽頭粘膜の線量低減が可能であるとともに,従来の3次元照射で困難であったPTVへの均一な照射も可能である.