カレントテラピー 34-5 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.5 69479は腫瘍血管が破壊されることなどにより,照射領域の効果が縮小することがある.そのため,根治的治療では一般的には「同時」使用が推奨される.化学放射線療法により局所あるいは全身的な抗腫瘍効果が高まる一方で,表3に示すような薬剤によって部位特異的な合併症が増加することに注意する必要がある.また,急性合併症としては骨髄抑制,悪心,嘔吐,粘膜炎,下痢,腎毒性などがあるが,これらは薬剤により対応が可能である.一方で唾液腺分泌低下や肺炎,肺線維症,心筋障害などの晩発性合併症に対しては発症時に打つ手はなく,予防策が重要となる.以上のことから,化学放射線療法は放射線治療単独よりも生存率を向上させる有効な治療法であるが,副作用も強くなることにより,患者の状態や病期等を勘案して適応症例を見極めていく必要がある.Ⅲ 化学放射線療法の臨床化学放射線療法の実臨床では,使用する化学療法の種類,併用のタイミングだけでなく,照射野や投与線量,照射法を考慮する必要がある.実際の治療法の決定は,臨床試験プロトコールがある場合にはそれに従い,ない場合には『NCCNガイドライン』等に準拠して行われることが望ましい.化学放射線療法の対象疾患としては,頭頚部癌,肺癌,食道癌,膵臓癌,子宮頸癌,肛門管癌,悪性神経膠腫,直腸癌などがある.本稿ではエビデンスレベルCategory2A(NCCN2015)に位置づけられている,または標準治療として行われている部位を抜粋して解説する.1 頭頚部癌主にシスプラチン(CDDP)を用いた同時化学放射線療法が行われる.線量は66 Gy~70 Gy/ 1.8~表1 代表的な抗がん剤の分類と作用機序分類作用機序細胞周期特異性代表的薬物代謝拮抗薬葉酸代謝拮抗薬葉酸代謝に関わる酵素を阻害することでDNA合成を阻害S メトトレキセートプリン代謝拮抗薬プリン代謝に関わる酵素を阻害することでDNA合成を阻害G1 メルカプトプリンピリミジン代謝拮抗薬ピリミジン代謝に関わる酵素を阻害することでDNA合成を阻害S フルオロウラシルピリミジンアナログピリミジンアナログをDNAポリメラーゼに誤って取り込ませ,DNA鎖に組み込まれることでDNA合成を阻害S ゲムシタビントポイソメラーゼ阻害薬DNAを切断,再結合を起こさせるトポイソメラーゼを阻害し,DNA複製や転写を阻害Sイリノテカンドキソルビシン微小管阻害薬微小管重合増強薬微小管を形成するチュブリンの重合を促進し,微小管の安定化・過剰形成を引き起こし,細胞分裂を阻止Mパクリタキセルドセタキセル微小管重合阻害薬微小管を形成するチュブリンに結合して,微小管の重合を阻害し,細胞分裂を阻止M ビンブラスチンアルキル化剤DNAとアルキル化薬の結合による架橋形成によりDNA損傷を引き起こす非依存的シクロホスファミドテモゾロミド白金製剤DNAと白金製剤の結合によりDNA損傷を引き起こす非依存的シスプラチンカルボプラチン表2 放射線単独より上乗せ効果のあったエビデンスレベルⅠの化学放射線療法疾患抗がん剤悪性神経膠腫TMZ頭頚部癌CDDP, 5-FU肺癌CDDP等食道癌CDDP, 5-FU膵臓癌GEM子宮頸癌CDDPTMZ:テモゾロミド,CDDP:シスプラチン,5-FU:フルオロウラシル,GEM:ゲムシタビン