カレントテラピー 34-5 サンプル

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62 Current Therapy 2016 Vol.34 No.5472像的に確認・記録して照射する治療」とされ,従来の放射線治療と比較し,標的に対して正確な照射およびPTVマージンを縮小できることから正常組織への線量低減が可能となるため,保険診療下のX線治療においては診療報酬の加算が認められている.IGRTを実現するための機器的要件として,照合画像を取得する装置には,(a)2方向以上の透視が可能な装置-治療室内設置の装置,放射線照射装置に付属の撮影装置,(b)画像照合が可能なCT装置-治療室内に設置されたCT装置,放射線照射装置に付属のコーンビームCT撮影装置,(c)画像照合可能な超音波診断装置,がガイドライン上挙げられている.X線治療では通常リニアックグラフィを用いて位置照合を行ってきたが,粒子線治療においては,治療ビームが通常用いられているエネルギーでは患者の体を透過しないため臨床的には用いることができない.このため,照射室内に2方向のX線撮像装置が設置され患者位置照合に用いられている.ガイドラインに記載の「透視」が可能であるかは機器によるが,臨床上は前述(a)による方法で位置照合がされており,定義的にはIGRTが行われてきた.X線治療ではすでに(b)が実用化され,骨構造での位置照合からCT画像による腫瘤や正常組織など軟部組織の形態,位置を患者寝台上,照射直前の位置照合に用いることができる機器が商用的に提供され用いられている.粒子線治療においても治療室内CT,コーンビームCTの利用でX線治療と同等以上の画像誘導精度が希求され研究開発が続けられてきた11).本邦では2015年4月に治療室内ガントリー設置型のコーンビームCTの薬事承認が得られ,臨床使用が開始されている(図4).X線治療では,軟部組織の空間位置を治療計画と同一にすることが主目的であり位置照合により目的は達せられていたが,粒子線治療においては,X線治療とは別の要素がクローズアップされている.すなわち,皮膚面から標的までの体内環境の変動,腫瘍の経時的容積変動が粒子線の飛程に影響を与えることから,標的の最遠端の安全域過大もしくは過小,時に標的に対する線量の適切性についての懸念である.飛程への影響や患者体内での照射対象の位置変動は,治療効果に対して望ましくない影響をもたらす不確実性要素となり得る12),13).これらを考慮すべき立場から,患者寝台上での軟部組織評価が可能な画像を取得することで,前述の影響の有無を確認できるようにするシステムの実現が臨床上求められている.現時点では治療計画,線量計算に要する時間および作成した治療計画に対する品質保証(quality assurance:QA)の要請などから実際には実施はされていない.そのため,変動が線量分布に対してどのような影響を与えるかについての検討をロバストネス評価とし,治療計画を実際の治療を図4コーンビームCTを用いた患者位置照合の臨床例