カレントテラピー 34-4 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.4 11総論323に対するワクチンがある.がん細胞はさまざまな遺伝子変異を有しており,非自己としてT細胞に認識される変異ペプチドが発現している.この変異ペプチドがneoantigenである.体細胞変異が他のがん種に比べてメラノーマでは多いことから,変異タンパク質由来のneoantigenがT細胞に認識されている可能性が高い.免疫チェックポイント阻害薬が劇的に治療効果を示す際に,neoantigenが抗原として認識されていることが明らかになってきている25).そこで,neoantigenをワクチンとして投与するとがん細胞に対して反応性の高いT細胞を効率的に誘導できるかもしれない.実際に,次世代シークエンサーを用いてマウスのがん細胞の変異ペプチドを同定し,ワクチンとして投与すると抗腫瘍効果が認められることが動物実験で示されている26)~28).症例ごとに異なるneoantigenを標的とした治療法は実用化の面でハードルが高いであろうが,解析技術の進歩によっては実用化も困難でなくなるかもしれない.腫瘍特異的なneoantigenをワクチンに用いる臨床試験もスタートしており29),30),この領域の一層の活性化が期待される.Ⅳ 養子免疫療法患者自身の免疫細胞を採取し,体外で刺激しながら培養してがん細胞に対する障害活性を高めた後,患者に投与する治療法である31).Rosenbergらは,メラノーマの腫瘍に浸潤しているリンパ球(tumorinfiltrating lymphocytes:TIL)を体外で大量培養し,化学療法やX線照射によって体内のリンパ球を除去した後に移入する治療法を発展させてきた.これは高い奏効率を示し32),CRを示した場合には治療効果が継続し,治癒に近似した状態が期待できる点は特筆すべきである.メラノーマでは紫外線によって多数の遺伝子変異が生じているためneoantigenが多数存在し33),そのため移入したリンパ球によって認識され非自己として排除されるものと思われる.オーダーメイド医療であり治療操作が煩雑なため一般化が容易ではないだろうが,今後の展開が期待される治療法のひとつである.Ⅴ がん治療用ウイルスウイルスをがん細胞に感染させて破壊する治療である.ウイルスに改変を加えてがん細胞内で選択的に複製するようにすることで,ウイルスの直接的な殺細胞作用によりがん細胞を破壊する(図2).また,がん細胞内でウイルスが複製し免疫に排除される過程で,特異的抗がん免疫が惹起されるので,効率のよいがんワクチンとしても作用する.現在,単純ヘルペスウイルスⅠ型,アデノウイルス,ワクシニアウイルス,レオウイルス,麻疹ウイルス,ニューカッスル病ウイルスなどさまざまなウイルスを用いたがん治療用ウイルスの開発が世界的に進められている34).メラノーマの場合,皮膚や皮下に生じた転移巣にウイルスを直接投与することが可能なので,がん治療用ウイルスの導入がはかりやすい.複数のがん治療用ウイルスの開発が進められているが,単純ヘルペスウイルスⅠ型に遺伝子改変を加えたtalimogenelaherparepvec(imlygicR)はその代表例である.Talimogenelaherparepvecは,単純ヘルペスウイルスⅠ型からγ34.5 とα47 という2つの遺伝子を欠失させるとともにヒトGM -CSF 遺伝子を組み込んだ遺伝子改変ウイルスである35).皮膚や皮下の転移巣に複数回,局所注射して投与する.最近,GM -CSFの皮下投与を行った群と比較してtalimogene laherparepvecを投与した群では,6カ月以上継続してCRやPRを示す比率が高いことが報告された36).これに基づき2015年10月に米国食品医薬品局(FDA)は,talimogenelaherparepvecを切除不能のメラノーマに対する治療薬として承認している.Talimogene laherparepvecでは有害事象は,発熱,悪寒,疲労感と重篤なものは少なかった.がん治療用ウイルスでは,大きな有害事象が全身的に生じる頻度は低いかもしれない.がん治療用ウイルスが局所でがん細胞を排除する過程で誘導した抗がん免疫が,全身に作用して遠隔転移巣に効果を及ぼすには時間を必要とするであろう.しかし,有害事象が顕著でないのであれば,病勢が比較的ゆっくりである場合,広く使用できる可能性が高い.また,免疫