カレントテラピー 34-4 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.4 61メラノーマにおける薬物療法373勢制御〔CR+PR+安定(stable disease:SD)〕が得られた17).2 抗PD-1抗体ニボルマブでは,前治療不応例でのDTICあるいはカルボプラチン(CBDCA)+PTXに対する優越性が証明された第Ⅲ相RCTであるCheckMate 037試験18),未治療例でのDTICに対する優越性が証明された第Ⅲ相RCTであるCheckMate066試験19)の結果が報告されている.なお,国際的な承認用量は3mg/kgの2週ごと投与となっており,わが国で2014年7月に承認された用量は2 mg/kgの3週ごと投与だったが,2016年2月に3mg/kgの2週ごと投与が追加承認された.Pembrolizumab(10mg/kg)では,前治療1レジメンまでの症例でのイピリムマブ(10mg/kg)に対する優越性が証明された第Ⅲ相RCTであるKEYNOTE-006試験の結果が報告されている20).なお,FDAでの承認用量は2mg/kgの3週ごと投与となっている.3 抗PD-1+CTLA-4抗体の併用療法ニボルマブ(1mg/kg)+ イピリムマブ(3mg/kg)併用療法を,ニボルマブ(3mg/kg)単剤およびイピリムマブ(3mg/kg)単剤と比較する第Ⅲ相RCTであるCheckMate067試験が行われた21).イピリムマブ単剤に対するニボルマブ単剤およびニボルマブ+イピリムマブ併用療法の無増悪生存期間(progressionfreesurvival:PFS)における優越性が示されたが,全生存期間(overall survival:OS)については未報告であり結果が待たれる.PD -L1陰性の症例では,ニボルマブ単剤に対する併用療法でのPFSの優越性も示されたが,治療関連のGrade 3/4有害事象は併用療法で55.0%と高率であった.4 免疫関連副作用免疫チェックポイント阻害剤では,immune-relatedadverse event(irAE)といわれる免疫関連の有害事象が生じることが特徴的である.IrAEは,主に皮膚(?痒,皮膚炎,白斑),消化管(下痢,腸炎,便秘),肝(肝酵素上昇などの肝機能障害),内分泌(甲状腺機能低下症,下垂体炎,副腎機能不全)に生じ,それらの管理には適切な医学的留意に加え,下痢,肝機能障害,下垂体炎等に対しては早期のステロイド全身投与が重要とされている.その他まれではあるが,間質性肺炎,重症筋無力症,ギラン・バレー症候群,劇症1型糖尿病などの報告があり,命に関わり得るので十分な注意が必要である.Ⅴ 腫瘍内投与免疫療法腫瘍溶解性ウイルス製剤であるT-VECでは,局所注射が可能な表在性病変を有する切除不能ⅢB-Ⅳ期の悪性黒色腫患者を対象に,GM -CSFの皮下投与とT-VECの腫瘍内投与を比較する第Ⅲ相RCTであるOPTiM試験が行われた22).主要評価項目である持続的奏効割合(PRあるいはCR が6カ月以上持続)は,GM-CSF群の2.1%に対してT-VEC群では16.3%と高く(p<0.001),OSもT-VEC群で長い傾向がみられた〔ハザード比(hazard ratio:HR):0.79(0.62-1.00), p=0.051〕.また,T -VECによる主な有害事象は倦怠感,悪寒,発熱であった.現在,T-VECと免疫チェックポイント阻害剤を併用する治療開発が進められている.Ⅵ 術後補助療法FDAでは1996年に高用量インターフェロン(interferon:IFN)α,2011年にpegylated(Peg)IFNα,2015年にイピリムマブ(10mg/kg)を承認し,わが国でも2015年にⅢ期を対象にPeg IFNαが承認された.しかしながら,高用量IFNαもPeg IFNαも一貫したOS延長効果がみられず,一方でGrade 3/4の有害事象が45~60%程度と高いことから,効果と毒性が見合わず広くは受け入れられていない.イピリムマブ(10mg/kg)では,Ⅲ期を対象にプラセボと比較する第Ⅲ相RCTであるEORTC18071試験が実施された.イピリムマブ投与群の無再発生存期間(recurrencefreesurvival:RFS)に対するHRは0.75(0.64- 0.90,p=0.0013)と有意に優れていたが,Grade 3/4の有害事象が42%と多く,毒性による治療中止も52%,治療関連死も1.1%にみられた23).OSを含めた最終的な